ボーイング、週内にも787機の改善案 電池構造など
【ニューヨーク=杉本貴司】米ボーイングは週内にも米連邦航空局(FAA)に対し、新型機「787」の改善案を提出する見通しだ。相次ぐ発煙トラブルを引き起こした電池の構造などを改善し、787の運航再開にこぎ着けたい考え。だが、トラブルの原因究明作業は難航しており、今回の改善は応急処置にとどまるもよう。米運輸省が運航再開を認めるまでは曲折がありそうだ。
20日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)によると、22日にボーイングのコナー民間機部門社長がFAAのウエルタ長官に改善案を提示する見込み。
改善案の柱は、電池を構成する8つの「セル」と呼ばれるリチウムイオン電池を隔てる隔壁の強化だ。これまでの調査で787の電池はなんらかの理由で1つのセルがショートして高温を発生、これが他のセルにも伝わり「熱暴走」と呼ばれる異常高熱状態となったことが分かっている。セルの間隔を広げるとともに隔壁の金属を強化して熱の波及を食い止める狙いだ。
仮に発煙した場合に煙を機外に排出する構造の強化も盛り込む。長期的な対策として電池そのものの見直しにも言及する可能性が高い。
運航再開にはFAAを管轄する米運輸省長官の許可が必要になる。だが、事故調査をとりまとめる米運輸安全委員会(NTSB)は電池の認可基準を見直す方針を表明している。なぜセルがショートしたのか、構造的な原因の追究作業も「まだ長い道のりが残る」(ハースマンNTSB委員長)段階だ。