2019年2月20日(水)

アルジェリア人質事件、欧州の資源戦略に暗雲
北アフリカからの輸入に依存

2013/1/21付
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【ロンドン=松崎雄典】アルジェリアの天然ガス関連施設で発生した人質事件は、石油やガスの多くを北アフリカからの輸入に頼る欧州のリスクを浮き彫りにした。イスラム武装勢力がガス事業を直接の標的にしたことで、ほかの関連施設でも従業員を退避させる動きが出ている。生産低迷や資源開発の遅れが懸念されるほか、国際市場にも影響が及びかねない。

人質事件の発生直後の17日、イタリアやスペインでは、パイプラインを通じてアルジェリアから送られてくる天然ガスの供給量が一時的に落ち込んだ。イタリアなどはほかのガス田からの調達を増やして対応した。

欧州連合(EU)の天然ガス調達で、アルジェリアは全体の約13%を占める。今回の事件が起きたイナメナスで生産される天然ガスは年間に約90億立方メートルで、アルジェリアの輸出量の約2割に相当する。事件は「アルジェリアのエネルギー分野の見通しに暗い影を落とした」(国際エネルギー機関=IEA)。

イナメナスからの供給低迷は他のガス田からの調達でカバーできそうだが、今回の事件は北アフリカでの石油・ガス事業全体がテロのリスクにさらされていることを印象付けた。

欧米の石油・ガス大手は北アフリカでの資源の開発に取り組んできた。アルジェリアは天然ガス生産量でアフリカでトップ、隣国リビアは石油埋蔵量でアフリカ最大だったからだ。だが人質事件で安全性の確保に重大な懸念が生じた。

実際、英石油大手のBPはアルジェリア国内にいる56人の従業員のうち25人以上を国外に退避させた。ノルウェーのスタトイルも関連施設の運営に必要な最低限の従業員以外は現地から引き揚げた。他のガス田でも退避が続き、生産に影響が出る可能性もある。

武装勢力が石油・ガス施設やパイプラインなどを攻撃対象にする懸念が強まるなか、現地政府も対応に動き始めた。ロイター通信によると、リビア政府やエジプト政府はエネルギー関連の施設の警備を受け持つ軍の増員や、パトロールの強化に乗り出した。税収を石油やガスの輸出に大きく頼る各国政府にとっては、自国経済のためにも安全確保が急務だからだ。だが、小規模なグループであり、動きを把握しにくい武装勢力の攻撃を防げるかは不透明だ。

今回の人質事件を受けて、国際市場での天然ガス相場には上昇圧力がかかっている。18日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、天然ガス先物価格が100万BTU(英国熱量単位)当たり3.566ドルと、前日に比べ2%上昇。1カ月半ぶりの高値を付けた。

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