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ロシア、14年から予算縮小 経済成長鈍化で歳入減

ロシア政府は2014~16年の連邦予算を従来の計画より縮小する。経済成長の鈍化で、歳入総額が予想より約5%減る見通しになったためだ。財政の均衡を保つため、公務員給与の凍結や軍備近代化の先送りなどで歳出を抑制する方針。歳出の急速な拡大で国民の支持を広げてきたプーチン政権の財政政策が転換を迫られている。

政府は19日の閣議で14~16年(暦年)連邦予算の大枠を決めた。14年予算の歳出総額は約14兆ルーブル(約45兆円)で、法人税など税収の伸び悩みを受け、前年比増加率を従来の計画の6.1%から4.4%に引き下げた。5%超と予想するインフレ率を下回る水準で、実質的な歳出削減になる。

従来の予算計画(対象は13~15年)は12年末に採択したもので、新しい計画では14年から2年間の歳入総額の見通しを約1兆5000億ルーブル減らした。ただ、歳出の削減により財政赤字の国内総生産(GDP)比は14~16年に1%以内に抑えており、歳出より財政の健全化を優先した形だ。

政府が予算の縮小を迫られた背景には、ロシア経済の停滞がある。政府は8月下旬、13年の実質GDP伸び率を2.4%から1.8%に引き下げた。結びつきの強い欧州の景気回復や天然資源に依存する経済構造の改革の遅れで成長が鈍り、14~16年のGDP伸び率も1ポイント近く下方修正した。

経済の減速を受け、プーチン氏は「世界経済が落ち込み、わが経済も少し停滞している」と歳出削減を指示した。シルアノフ財務相も年金などを除き「すべての歳出項目を5%削減する」と言明。歳出抑制を優先課題に、15年までの連邦予算計画の見直しと16年の計画づくりを急いでいた。

歳出の抑制項目について、シルアノフ財務相は19日、(1)14年に公務員給与の引き上げを見送る(2)政府発注を全般的に見直す(3)3000億ルーブルの軍備近代化予算を17年以降に先送りする――などを挙げた。こうした措置により「1兆5000億ルーブルを確保できる」と語った。

公務員給与の引き上げや軍事費の増大は、12年の選挙で復帰したプーチン大統領の「公約」だ。シルアノフ財務相は「優先課題の解決」に予算を厚く配分するとしたが、「公約」の一部見直しは避けられない。プーチン政権やメドベージェフ首相率いる政府への不満が高まる可能性がある。

00年から続く「プーチン体制」はこの13年間、石油と天然ガス収入の急増で予算総額を10倍以上増やした。政権は予算の約半分を占めるようになった石油ガス収入を国民や企業に再配分。生活水準の向上を約束する見返りに政治的不満を抑え込んできたが、予算計画の縮小はこうした統治モデルが限界に達していることを示した。

GDPの2割を占める連邦予算の計画縮小が、景気回復を遅らせる懸念はある。このため政府は14年に鉄道など公共料金の引き上げを見送ることを検討しているが、減収を恐れる国営企業は大型投資の削減を表明し、料金凍結の効果を相殺しかねない。結局、経済成長には「予想を上回る原油価格の上昇」(ナビウリナ中銀総裁)しかないとの指摘も出ている。(モスクワ=石川陽平)

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