米コダックが破産法申請 デジカメ対応など遅れ
つなぎ融資で業務継続
【ニューヨーク=小川義也】経営危機に陥っていた米映像機器大手イーストマン・コダックは19日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用をニューヨークの連邦地裁に申請したと発表した。約130年の歴史を誇るコダックは写真フィルムで一時代を築いた米国を代表する名門企業だが、デジタルカメラの普及など市場の変化への対応が遅れ、業績低迷から抜け出せなかった。
破産法適用申請の対象はコダック本体と米国内の子会社。米国以外の子会社は対象に含まれない。
コダックは米シティグループから総額9億5000万ドルのつなぎ融資を受け、業務は通常通り続ける。今後は裁判所の管理下で、懸案となっている保有特許の売却などを進めるとみられる。

コダックを巡っては昨秋以降、経営不安説がたびたび浮上。昨年9月には会社側が金融機関との間で設定したクレジットライン(融資枠)から1億6000万ドル(約120億円)を引き出すと発表したことなどをきっかけに株価が急落。昨年12月上旬以降、株価が1ドルを下回る状態が続いていたため、今月3日にはニューヨーク証券取引所から上場基準に抵触する恐れがあるとの警告を受けていた。
1880年創業のコダックは、1935年に35ミリフィルム「コダクローム」を発売。「フィルムの巨人」として長く世界に君臨した。75年には世界初のデジタルカメラを開発。だが、高収益のフィルム事業にこだわり、急速に普及したデジタルカメラへの対応で、ライバルの日本メーカーなどに大きく出遅れた。
2005年に最高経営責任者(CEO)に就任したアントニオ・ペレス氏は、新たな事業の柱と位置付けたプリンター事業の強化や、保有する特許の売却などを通じた経営の立て直しを目指した。だが、08年以降、毎年のように最終赤字を計上するなど業績の悪化に歯止めがかからなかった。
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