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英、原潜退役を先送り 防衛費削減、冷戦後最大に

【ロンドン=岐部秀光】英国のキャメロン首相は19日、英国の安全保障戦略の柱となる「戦略的防衛見直し」を12年ぶりにまとめ発表した。厳しい財政状況を背景に、防衛費について今後4年で実質8%と冷戦終結後最大規模とみられる削減を行うと表明した。

核弾道ミサイル・システム「トライデント」の更新を巡っては、搭載する原子力潜水艦の退役を2024年から2028年以降に先送りすることが可能と指摘。システム更新の延期の可能性を示唆した。更新を巡る正式な決断は2016年まで先送りするとした。

防衛費の大幅な削減を巡っては、国内で「防衛能力低下で国際社会での存在感が低下する」と批判が出ているほか、同盟国である米国も懸念を強めているもようだ。英航空防衛大手BAEシステムズなど防衛関連企業への打撃も大きいとみられる。

首相は空母アークロイヤルの退役を前倒しで進めると述べた。対潜水艦哨戒機「ニムロッド」の導入中止のほか、垂直離着陸戦闘機ハリアー・ジャンプを廃止すると決めた。約10万人の陸軍は7千人、約3万5千人の海軍は4千人が削減される見込み。

首相はアフガニスタンやイラクに対する軍事介入で財政負担が重くなった反省から、今後は世界各国の不安定な地域への援助を増やすと指摘。紛争の未然防止に軸足を置く立場を鮮明にした。

キャメロン首相は18日、米国のオバマ大統領と電話で会談し防衛費削減に理解を求めた。政府は防衛費削減に伴う能力低下を補うため、フランスや米国との防衛協力を今後、一段と深める方針を示している。

前回、1998年にブレア政権がまとめた防衛見直しは発表までに1年を費やした。今回は首相が議長である国家安保評議会が5カ月でまとめた。財政赤字が国内総生産(GDP)の10%を超す英国は先進国で最も厳しい歳出削減を進めている。

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