2019年8月20日(火)

欧米製薬大手が先進国での事業縮小 新興国強化に動く

2010/11/18付
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【フランクフルト=下田英一郎】欧米製薬大手が先進国での製薬事業を縮小し、新興国市場の強化に動いている。スイスのロシュは欧米の新薬営業の人員を削減し、中国やインドの人員を強化。仏サノフィ・アベンティスも米国の営業要員を25%減らす一方、中国の大衆薬事業を拡大する。欧米市場が伸び悩んでいるため対応を急いでいる。

製薬大手6社の7~9月期の純利益は、英グラクソスミスクライン(GSK)と米ファイザー、米メルクの3社が前年同期比で減益、サノフィ、ノバルティス(スイス)の2社が増益だった。ロシュは7~9月期の利益を公開していない。主力の製薬事業は5社が減収で、事業の見直しを迫られている。

ロシュは2012年までの2年間で、全従業員の6%にあたる4800人の削減を決定。計24億スイスフラン(約2000億円)のコストを削減する。削減対象の4800人のほぼ半分は欧米の新薬営業人員。成長市場の中国やインドでは、逆に営業や開発の人員を増員する。中国では年内に前年比35%増の1300人、インドでは12年までに10年比6割増の650人体制にする方針だ。

サノフィも既存の新薬事業は苦戦。7~9月期は後発薬との競争激化による減収分が約6億ユーロ(約680億円)に達した。主力の米国事業を縮小し、年内に米国の新薬向け営業人員の25%、1700人を削減する。

サノフィの売上高に占める新興国の割合は30%。新興国市場を強化するため、中国の複数の大衆薬メーカーを傘下に持つ米BMPサンストーンを5億2千万ドル(約400億円)で買収した。BMPは中国で風邪薬や婦人科系の大衆薬に強い。中国の大衆薬市場は今年120億ユーロの見通しで米国に続く世界2位。05年以降、2けたペースで成長しており、BMP買収で一気に事業基盤を拡大する狙いだ。

製薬世界最大手のファイザーは昨秋、最大50億ドルのコスト削減に着手。痛み治療薬の開発を一時中止し、カプセル製造事業を分離する。ただインドではバイオ医薬大手バイオコンとインスリン後発薬の世界販売で提携。ブラジルでは後発薬大手ラボラトリオ・テウト・ブラジレイロの株式40%を2億ドルで取得した。

米IMSヘルスによると、11年の世界の医薬品市場の成長率は5~7%と、10年の見通し(4~5%)を上回る。けん引するのは新興国で、中国など計17カ国の成長率予想は15~17%。欧米市場は1~5%成長にとどまる。欧米では主力薬の特許切れが相次ぎ、安価な後発薬が広がっている。薬価を抑制する医療制度改革の影響も出ており、欧米市場を中心とした従来の成功モデルの見直しが急務となっている。

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