2019年5月19日(日)

米マイクロソフト、クラウド化急ぐ 「オフィス」刷新
グーグルやアップルと攻防激しく

2012/7/18付
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【シリコンバレー=岡田信行】米マイクロソフト(MS)が稼ぎ頭の業務用ソフト「オフィス」を刷新し、インターネット経由で機能を提供する「クラウドコンピューティング」への対応を一段と加速する。クラウド化により、ソフトの販売からネットを通じたサービスの提供へとビジネスを拡大する。クラウドを巡る、グーグルやアップルなどとの顧客争奪戦が激しさを増しそうだ。

今回公開したのは次世代版「オフィス」の「プレビュー版(最終段階の試作版)」。今年10月に一般向けに発売する次世代OS(基本ソフト)「ウィンドウズ8」に対応し、キーボードだけでなく、画面を指で触るタッチ操作や専用ペンでの入力も可能だ。

スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)とも連携。データや文書をオンラインで保存するMSのサービス「スカイドライブ」を組みあわせ、パソコン、タブレット、スマホなど端末をまたいで使うこともできる。

「シンク・クラウド・ファースト(クラウド優先で考える)」。16日、米サンフランシスコでの発表会に登壇したMSのスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)はこう強調した。

パソコンを動かすOSの世界シェアで首位を走る「ウィンドウズ」。MSは「ウィンドウズ」で急成長したため、OSで稼ぐ会社だと思われているが、実は違う。いまや売上高、営業利益ともに、「オフィス」は「ウィンドウズ」より大きく、全社業績への寄与度も高い。

単品ソフトの販売で高収益を誇ってきたMSにとって、クラウド化はもろ刃の剣。ソフト市場を自ら破壊する可能性もある。しかし、「現実」が先行した。米IT(情報技術)業界の主戦場はクラウドに移行。使える機能やソフトの品ぞろえ、使い勝手を高めて企業や一般消費者を取り込み、ソフトの単品販売ではなく、機能などの利用料やネット広告で収益を確保している。

グーグルは、ネット検索や電子メールをはじめ、多くの機能を無料で提供。一般消費者の認知度を高めて、ネット利用を促し、広告で稼ぐ事業モデルで成長した。携帯機器向けOS「アンドロイド」も無償提供し、機器の開発や販売は協力メーカーに任せ、グーグルの機能の利用者を増やした。

ネット小売り大手の米アマゾン・ドット・コムは、書籍や雑貨、家電製品など自らが手掛けるネット通販とは別に、企業や個人にデータを保存する"場所を貸す"事業も手掛ける。アップルも自社製品の間で購入した楽曲や写真などのデータを共有するクラウドサービス「iCloud(アイクラウド)」に参入。ユーザーの囲い込みに余念がない。

MSは一気にクラウド化には動かず、少しずつ進める方向だ。「全てのニーズに対応できるのが強み」(バルマーCEO)とアピール。「クラウド・ファースト」になっても、クラウドを使わない顧客のニーズにも応え、両面作戦で収益も確保する構えだ。

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