米債務不履行回避 暫定案、上下両院が可決
【ワシントン=中山真】米議会の上下両院は16日夜(日本時間17日午前)、来年2月7日まで連邦政府の国債発行を認める暫定措置などを含む法案を相次いで可決した。オバマ大統領の署名を経て成立する。米政府が国債の元利金などを返済できなくなる債務不履行(デフォルト)は回避され、1日から一部閉鎖が続いていた米政府機関の活動は正常に戻る。
上下両院での採決では、上院で共和党の半数以上、下院で共和党の3割強が賛成に回った。
上下両院が可決した法案の柱の1つは、国債発行を来年2月7日まで米政府に認めることによる債務上限の事実上の引き上げ。同日以降も財務省が資金をやりくりする特別措置を認め、最終的には債務上限の引き上げ期限を3月ごろまで先送りできる可能性がある。
もう1つの柱は、1日から続いている政府機関の閉鎖解除に必要な予算の手当てだ。2013会計年度(12年10月~13年9月)の歳出水準に基づき来年1月15日までの暫定予算をつくる。約40万人に上る連邦政府職員が職場に戻り、全米各地の国立公園をはじめ、すべての政府機関が17日ぶりに正常化する。
さらに両党は、債務上限の引き上げと政府機関の再開後に、年金など社会保障制度の見直しや税制の抜本改革といった中長期の財政再建計画を話し合う超党派の協議機関を立ち上げることも決めた。12月13日までに結論を出し、来年1月15日以降も政府機関を運営させる予算措置に反映させる。
下院では共和党のベイナー議長が16日、上院の合意を容認する意向を表明。上院が可決した法案を修正せずに同日中に下院も採決し、共和党の強硬派は反対したものの、賛成多数で可決した。
下院共和党は政府機関の閉鎖解除や債務上限の引き上げの条件に、医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しを要求。政府機関の閉鎖が長引くにつれて同党の強硬姿勢に世論の批判が集中した。米政府が債務不履行に陥れば来年の中間選挙への影響も避けられず、強硬姿勢をこれ以上続けることは得策ではないとの判断に傾いた。
オバマ大統領は16日夜、ホワイトハウスで声明を発表し、民主、共和両党による合意の実現に謝意を示し「議会で法案可決後に直ちに署名する」と明言。両党の財政協議の迷走で米国民の政治不信が高まったことを念頭に「我々は信頼を取り戻さなければならない」とも訴えた。