iPhone4、ケース無償配布 ジョブズ氏が謝罪
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は16日、受信トラブルが問題となっている高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)4」について「迷惑をかけた」と謝罪した。問題を防ぐため、本体を覆うケースを無償配布すると発表した。一方、今回のトラブルは「他の高機能携帯電話でも起こる業界全体の課題だ」として設計ミスやリコール(製品の回収・修理)を否定した。
米カリフォルニア州クパチーノ市の本社で記者会見したジョブズCEOは「我々は完全ではない。電話も完全ではない」と発言。iPhone4の本体側面の一部を強く握ると、受信状況が悪化することを認めた。
そのうえで、日米などで販売済みの300万台分と9月末までに販売する分について、本体を覆うケース(米国での当初価格は29ドル)を希望に応じて無償配布し、ケースを購入したユーザーには返金すると表明した。
ジョブズCEOは設計ミスやリコールについては明確に否定。韓国サムスン電子や台湾HTCなど他社機でも同様の問題が起きた動画を紹介し、受信トラブルで寄せられた苦情や質問の件数が全ユーザー数の0.55%にとどまることを明らかにした。
iPhone4は本体外側にアンテナを配した独特のデザインを採用。ユーザーが本体を手で強く握ると受信感度が落ちるとの苦情が相次ぎ、一部ユーザーがアップルを提訴。アップルは「受信感度を示すソフトに問題があった」として修正ソフトの配信を始めたが、12日には米消費者情報誌「コンシューマー・リポート(電子版)」が購入を「推奨しない」と報じ、アップルの株価が急落するなどしていた。
16日の米株式市場でアップル株は前日終値比1ドル55セント(0.6%)安の249.90ドルで取引を終えた。