イスラエル、総選挙を前倒し 首相が体制固め狙う

2012/10/16付
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【カイロ=押野真也】イスラエル国会は16日未明に解散し、2013年1月22日の総選挙実施を決めた。最近の世論調査ではネタニヤフ首相が率いる右派政党が支持を集め、中道・左派政党は議席を減らす見込み。同首相が総選挙を前倒しする背景には、支持率が高いうちに選挙を実施して体制を固め、核開発疑惑が深まるイランに対抗しようとする思惑が浮かび上がる。

「イスラエル国民は建国以来の安全の危機に対し、誰がこの国を率いるか決断することになる」。15日に演説したネタニヤフ首相はイラン問題を選挙戦の最大の争点にする考えを示した。同首相は対イラン強硬派で知られ、「今回の選挙を自身のイラン政策の信任投票と位置づけている」(現地メディア)との見方もある。

ネタニヤフ首相は9月末の国連総会で、イランは13年春から夏までに核兵器開発に必要な量の高濃縮ウランを入手すると指摘。同首相は事実上、この時期を「イランが越えてはならない一線」と定めた形だ。この時期までにイランが濃縮活動を停止しない場合、ネタニヤフ首相は軍事行動を含めた対応を取るよう国際社会に呼びかけている。

イランの脅威が強まるなか、イスラエルではネタニヤフ首相への支持が集まっている。投票は解散から90日前後で行われるのが通例。最近の世論調査では、首相が率いる右派政党リクードの議席が前回選挙の27議席から30議席程度まで増えるほか、リーベルマン外相が率いる極右政党「我が家イスラエル」も支持を伸ばしている。一方、中道政党のカディマは現在の28議席から20議席程度まで減る公算が大きい。

中道政党や左派政党はイラン問題ではなく、経済政策などを選挙戦の争点にしたい考えだが、現地メディアの分析ではネタニヤフ首相が続投するとの見方が大勢だ。現政権はリクードや宗教政党などと連立を組んでおり、13年度予算の編成などを巡り政権内に不和を抱えている。ネタニヤフ首相は次期総選挙で議席を伸ばし、強固な政権基盤を築きたい考えだ。

さらに選挙の前倒しは、11月に実施予定の米大統領選挙をにらんだ動きとの見方が出てきている。経済制裁を中心とし、イランへの軍事行動には消極的なオバマ米政権と、イランへの単独軍事行動も辞さない姿勢を示すネタニヤフ首相との間では、かねて不協和音が伝えられているためだ。

来年1月にイスラエルが総選挙を実施してネタニヤフ首相が続投すれば、同首相の対イラン政策がイスラエル国民に信認されたとみなし、「イスラエル国民の意思」として米新政権に突きつけることができる。ユダヤ系米国人の政治力も大きく、米新政権も耳を傾けざるを得なくなるとの分析もある。

イスラエルと米国で相次いで誕生する新政権が対イランでどのような協調関係を築くのか。両国の関係構築の行方はイラン情勢を左右することになりそうだ。

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