パキスタン最高裁が首相逮捕命令 汚職事件関与の疑い

2013/1/15付
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【ニューデリー=岩城聡】パキスタン最高裁は15日、電力会社をめぐる汚職事件に関与した疑いがあるとして、アシュラフ首相らを逮捕するよう捜査当局に命じた。首相は16日にも最高裁に出廷し事情説明を行うとみられるが、実際に逮捕されるかは不透明だ。同国と隣国インドが領有権を争うカシミール地方では両軍による衝突が相次いでいる。パキスタン文民政府の弱体化は、軍部の影響力を高めることになり、印パ関係はさらに混迷しそうだ。

アシュラフ氏は2008年4月~11年2月に水利・電力相を務めた。その際、発電事業に絡んで業者から見返りとして金銭などを受け取り、ロンドンでの資産購入に充てた疑惑が持たれている。

アシュラフ氏は昨年6月、失職したギラニ前首相の後継としてザルダリ大統領の意向を受けて首相に就任。その直前、最高裁は政府の反汚職担当部署にアシュラフ氏の疑惑を追及するよう指示していた。半年以上の捜査で新たな証拠が見つかり、逮捕命令に踏み切ったもようだ。

ただ、最高裁による汚職追及の最大の標的はザルダリ大統領だ。ギラニ氏はザルダリ氏の過去の汚職疑惑への訴追再開の手続きを拒否し続け、結果的に議員資格を剥奪され、首相職も失った。

一方、アシュラフ氏は最高裁に協力的だとみられてきた。ザルダリ文民政権と反目する軍部が司法に働きかけ、大統領への圧力を徐々に強めている可能性もある。

首都イスラマバードでは14日から、イスラム教団体を中心とする数万人規模の異例の反政府デモが行われた。デモ隊は中東の民主化運動「アラブの春」になぞらえ、汚職撲滅やアシュラフ内閣退陣などを求めた。

パキスタンは今春、総選挙を控えており、こうした反文民政権への世論の高まりを軍部や最高裁が利用している可能性もある。

今月6日に勃発したカシミール地方の実効支配線(停戦ライン)付近での銃撃戦では、これまでに双方で兵士4人が死亡。インドのシン首相は15日、パキスタンとの関係について「野蛮な行為があった後だけに、いつも通りというわけにはいかない」と早期の関係正常化は困難との立場を示した。文民政権がぐらつくなか、パキスタン軍部がさらに強硬姿勢に出ることも予想される。

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