グーグルの書籍電子化訴訟、米作家協会の訴えを棄却
【シリコンバレー=奥平和行】インターネット検索最大手、米グーグルによる書籍の電子化を差し止める訴訟で米ニューヨーク連邦地裁は14日、米作家協会の訴えを棄却した。作家協会は図書館の蔵書を電子化する試みが著作権侵害にあたるとして2005年に提訴。グーグルが書籍をネットで公開する範囲を一部にとどめ、書籍の販売機会に配慮していることが評価された。
ニューヨーク連邦地裁のデニー・チン判事はグーグルの取り組みを評価したうえで「公共の利益にかなう」との見解を示した。グーグルは14日「判断を全面的に歓迎する」とするコメントを発表した。米メディアによると作家協会は上訴する見通しだ。
グーグルは05年、図書館の蔵書を電子化し、ネットを通じて検索・閲覧できるようにする「グーグル・ブックス」を始めた。作家協会と米出版社協会(AAP)はグーグルが著作権者の承認を受けずに電子化を始めたことを問題視。同年に相次いでグーグルを提訴した。09年3月には3者間で和解が事実上成立したが、裁判所の承認が得られずに頓挫した。
その後、グーグルはAAP、作家協会の双方と個別に問題解決の糸口を探ってきた。AAPとは12年に和解し、出版社側に電子化した書籍を一般公開するか削除するかの選択権を与えることで折り合った。地裁が作家協会の訴えを棄却したことにより、一連の問題が解決に向けて前進する可能性も出てきた。