2019年7月17日(水)

米国防長官、予告なしにアフガン訪問 乱射事件、沈静化急ぐ

2012/3/14付
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【ニューデリー=岩城聡】米国のパネッタ国防長官は14日、予告なしにアフガニスタンを訪問した。2日間の滞在中、カルザイ大統領らと会談する予定。同国では11日に米兵の銃乱射事件が発生、一般国民の間で反米感情がかつてなく強まっている。米政府は国防長官の派遣で事態の沈静化を急ぎ、反政府武装勢力タリバンに同調する声の拡大を抑える方針だ。

パネッタ長官は14日、南部ヘルマンド州の基地で演説。南部のカンダハル州で米兵が銃を乱射して子どもや女性を含む民間人16人を殺害した11日の事件について、「一つ一つの問題によって米国の決意が揺らぐことはない」と指摘した。長官は14日、モハマディ内相と会談。アフガンの治安維持に引き続き取り組む意向を示したとみられる。

パネッタ長官のアフガン訪問は、就任後3度目。今回の銃乱射事件の全容解明や米兵の責任追及に全力を尽くす姿勢を示す一方、治安の安定へ向けアフガン政府の協力を取り付ける狙いがあるとみられる。

米政府によると、今回の訪問は銃乱射事件前から計画されていたというが、地元メディアなどは「事件後、初めての大規模デモからたった1日後の訪問」と論評。13日に発生した東部ジャララバードでの学生数百人による反米デモの拡大阻止が訪問のきっかけにもなったと分析した。

銃乱射事件を起こした米兵は身柄を拘束されたが、米軍は「軍の指揮系統外の行動」と説明、動機など詳細を明らかにしていない。アフガン国内では今回の事件を「米兵による過去最悪の犯罪」などと批判する声が増えている。

米政府は事件をきっかけにタリバンに同調する声が国内で広がることを最も警戒している。タリバンは事件直後に「侵入者と残酷な殺人者に対し、個々の殉教者が復讐(ふくしゅう)する」との声明を発表。国内の反米感情をあおっている。アフガンでは2月に米兵によるコーラン焼却事件が起き、各地で反米デモが頻発していた。

アフガンのタニ元国防相は「民間人を巻き込んだ銃乱射事件は、タリバンの士気を高め、タリバンはこれを利用するだろう」と分析。同氏は「アフガン国民は『米国は事態を複雑にするだけで、改善しようという意志がない』と考え始めている」と指摘、タリバンへの支持が増えることに懸念を表明した。

一方、今回のパネッタ長官の訪問には、米国内で銃乱射事件後に勢いを増したアフガンからの早期撤収論の"火消し"の意味もありそうだ。米政府は2014年の米軍撤収を計画している。オバマ大統領は事件後「困難に直面しているが目標を達成するために戦いを続け、戦争を終結させる」との声明を公表。今秋の大統領選をにらみ、コーラン焼却や銃乱射など一連のアフガン問題の早期収束を目指しているとされる。

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