2019年9月15日(日)

米予算教書、成長・財政両にらみ 共和党と溝大きく

2011/2/15付
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【ワシントン=大隅隆】オバマ大統領が14日示した2012会計年度(11年10月~12年9月)の予算教書は、財政再建と経済成長の両にらみの内容となった。向こう10年で財政赤字を1兆ドル超減らす一方、競争力強化に向けた重点分野への投資も実施するためだ。ただ、議会で影響力を増した共和党は財政再建を優先すべきだとの批判を強めている。財政運営を巡る米政府・議会の綱引きは曲折がありそうだ。

オバマ政権の予算教書は今回が3回目。昨夏時点でホワイトハウスは、財政赤字のピークが10年度の対国内総生産(GDP)比10.0%と見ていたが、景気回復の鈍化や大型減税延長の影響で11年度に後ずれした。

12年度は高水準の失業保険給付などに加え、高速鉄道(80億ドル)、高速無線網(約150億ドル)などの競争力強化策にも予算を配分する。この結果、赤字のGDP比が12年に5.6%まで改善するとの昨夏予測も下方修正され、同7%にとどまることとなった。成長の下支えを重視する結果、財政再建は全般的に遅れ気味で推移する。

米政府高官は13日、オバマ大統領が09年の就任直後に掲げた「2013年までに財政赤字を半減させる」との公約を現時点では堅持するとの考えを示した。ただ、公約維持は米景気の本格回復に伴う税収の大幅な伸びに頼っている面が色濃く、不透明感がある。

「小さな政府」を掲げる共和党の批判を意識し、同予算教書は向こう10年で1兆1000億ドルの財政赤字削減方針を打ち出した。このうち「歳出削減」は7000億ドル程度で、残りを増税などで賄う可能性がある。

だが、共和党は歳出削減だけで1兆ドル規模の赤字を減らす必要があるとの姿勢。共和党内では昨年秋の中間選挙以降、歳出削減による米財政赤字の大幅減が米経済再生のカギと主張する勢力が勢いを増した。政府による投資が必要とするオバマ政権の予算教書に「全く持続不可能」(マコネル上院院内総務)と反応しており、溝は大きい。

米国では予算編成権は議会にある。オバマ政権の予算教書提出で12年度の予算案作りが本格化するが、米議会では歳出削減を巡る与野党の対立で11年度ですら暫定予算のまま綱渡りの状況が続いており、財政運営は中間選挙後の両党の融和路線の焦点に浮上している。

欧州各国が本格増税を含む財政健全化に動くなか、米国の財政論議は社会保障費などを聖域とし歳出の2割に満たない政策経費の削減を焦点としてきた。ドルが基軸通貨であるため、米国債投資などを通じ海外マネーが比較的順調に流入しているためだ。

ただ財政赤字削減を巡る米国内の議論の迷走が続けば、海外投資家の信認も低下する。米景気の本格回復が再び遅れれば、オバマ政権が一段と難しい選択を迫られるリスクもはらんでいる。

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