オバマケア出足低調 米保険加入、想定の5分の1
【ワシントン=中山真】オバマ米政権は13日、10月から始まったオンラインで簡単に保険加入ができる保険市場「エクスチェンジ」について、11月2日までに申し込んだ人数が約10万6千人だったと発表した。当初想定した約50万人を大幅に下回った。ウェブサイトの不具合により加入できない状態が続いたことが響いたとみられる。オバマ大統領は14日、制度全般への批判を受けて、改善策を表明する。
実質的な国民皆保険をめざす医療保険制度改革法(オバマケア)は、原則すべての国民に保険への加入を義務付ける。目玉政策の一つである保険市場の加入者数が政府の不手際などにより伸び悩み、オバマケアに反対する野党・共和党は批判を強めている。
保険市場を使った保険加入者のうち、州政府が運営する保険市場を経由したのは約7万9千人、連邦政府が運営する保険市場を経由した加入者は約2万7千人だった。
連邦政府のウェブサイトは技術的な不具合により、加入したくてもできない状態に陥った。不具合が判明して以降、共和党はオバマ政権側に保険市場の加入者数を開示するよう求めてきた。
オバマ政権は保険加入の期限である来年3月までなお時間があると指摘し「期限まで決断を延ばす国民も多く、これから加入者数は増える」と強調。施行延期の要求は受け入れない考えだ。
ただ、オバマケアの基準を満たさないとの理由で現行の保険契約を10月以降に中止させられた例が相次いでいる事例も判明。オバマ大統領は、すでに保険に加入した人にオバマケア施行の影響はないと訴えてきただけに、野党などは公約違反との批判を強めている。
オバマ大統領は14日、オバマケアの基準に満たない保険内容でも契約を継続できるようにする改善策を打ち出す。加入者数の低迷と共に契約打ち切りが広がれば、保険加入義務付けを担保できなくなるとの判断だ。
だが、与党・民主党内の懸念も根強い。クリントン元大統領は「保険契約を中止させられることがあってはいけない」と批判した。共和党や民主党の一部は、オバマケアの基準に満たない保険内容でも契約を続けられるようにする立法措置を提案している。