軍用銃の自宅保管禁止案が否決 スイス国民投票
スイスで13日に実施された国民投票で、軍用銃の自宅での保管を禁止する憲法改正案が反対多数で否決された。軍用銃が犯罪や自殺に使われていると訴える自宅保管反対派が憲法改正案を提出したが、「自宅での銃保管はスイスの伝統」と考える保守層の反発が強く、現行制度の維持が決まった。
スイスで軍用銃の自宅保管が始まったのはナチス・ドイツの侵攻が懸念された1940年で、兵士が自宅で武装して戦場に直接駆けつけることが目的だった。今も「武装中立」が国是で徴兵制が残るスイスでは、兵役義務のある市民は自動小銃などを自宅で保管するのが一般的だ。
反対派は「第2次世界大戦どころか東西冷戦も終結し、銃の自宅保管は時代遅れだ」と主張。スイスでは3軒のうち1軒には最低1丁の銃があり、九州ほどの広さの国土に230万丁が存在するという。反対派は軍用銃が犯罪や自殺に使われることを防ぐため、兵舎などに併設されている武器庫への保管を義務付けるよう求めていた。
国を二分する論争に発展したが、結果は自宅保管禁止案への賛成が43.7%、反対が56.3%。特に保守層の多い農村部で反対票が多く、予想以上の大差で否決された。(ジュネーブ=藤田剛)