2019年9月16日(月)

アブドラ元外相が優勢か アフガン大統領選の決選投票

2014/6/15付
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【シンガポール=岩城聡】アフガニスタン大統領選の決選投票が14日、行われた。4月に実施された第1回投票で首位だったアブドラ・アブドラ元外相と2位のアシュラフ・ガニ元財務相による一騎打ち。3選禁止で2期10年にわたり大統領を務めたカルザイ氏の退任は決まっており、初めて民主的な政権移行を実現させる重要な選挙だ。

大統領選は14日、アフガニスタン全土で一斉に行われた。ロイター通信によると選管は同日、1200万人の有権者のうち700万人以上が投票に参加したと明らかにした。4月と同程度の投票率とみられる。

選挙で優勢とみられているのは第1回投票で首位だった少数派タジク人を支持基盤とするアブドラ氏だ。一方、世界銀行での勤務経験がある最大民族パシュトゥン人のガニ氏は終盤に追い上げたとの情報がある。

暫定結果は7月2日、最終結果は同22日に公表される見通しだ。地元メディアによると、14日には投票所の襲撃など小規模なものも含め全国で150件の攻撃があった。

反政府勢力タリバンは「米国に操られた選挙だ」としてテロを繰り返し投票阻止を図ってきた。6月6日にはアブドラ氏自身が爆弾テロに遭い、同氏は無事だったものの治安悪化の現状を改めて印象付けた。

第1回投票後、ガニ氏に続く3位だったザルマイ・ラスール前外相がアブドラ氏支持を表明した。その決定にはラスール氏を支持したカルザイ大統領の意向が働いたとされ「アブドラ新政権」での影響力行使を狙っているとの見方も広がる。

アフガンに駐留する外国部隊の多くが今年末までに撤退を予定している。次期政権はあらゆる面で「独り立ち」が求められる。「新大統領の最大の課題は、治安の維持とタリバンとの和平交渉だ」とシャーナワズ・タナイ元国防相は指摘する。

国連アフガニスタン支援団(UNAMA)によると、2013年に戦闘などに巻き込まれて死傷した民間人は8615人。4年間で4割以上増えるなど治安はどんどん悪化している。

アジアに安全保障の重心を移す「リバランス(再均衡)」を優先した国防政策を進めようとしている米国のオバマ大統領。5月27日、アフガンに駐留する国際部隊の任期と米軍の戦闘任務が終了する14年以降も米兵9800人を駐留させるが、15年末までに半減し、16年には全面撤収させると発表した。しかしアフガン治安部隊の独力で今後、治安維持を担えるか疑問視する声は強い。

「今後、自国兵士が撤退すれば国内世論が厳しくなり、アフガンへの支援額も減らさざるを得ないだろう」。カブールの外交団の間では、こんな会話がよく交わされているという。

13年のアフガンの国家歳入予算の62%にあたる41億ドルは外国からの資金援助で賄われている。最大の資金拠出国は米国でその援助額は13年は16億ドルだったが、今年分は半減したとされすでに「撤退ムード」だ。

アフガンの国内総生産(GDP)における割合が最も高い「交通・貯蔵・コミュニケーション」などのサービス業は、国内に展開する国際治安部隊に負っていたところが多い。部隊撤収による消費の減少や現地人材の雇用減が実体経済の悪化にじわじわと効いていくだろう。

アフガンの民主化や治安安定の道のりは遠く、外国部隊の撤退で再び「忘れられた国」となる懸念がある。一方で、アフガン各地には、経済再興のカギを握る1兆ドル(約100兆円)規模ともされる金・銀・鉄などの鉱物資源が眠る。

すでに中国やロシア、インドなど近隣の大国が外交攻勢を展開する。米軍不在の「力の空白地帯」での治安の悪化と過熱する資源外交は、地域の安定を脅かす新たな火種となりかねず、新大統領のバランスの取れた外交センスも問われそうだ。

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