2018年12月12日(水)

[FT]ヘリコプターマネー擁護論 日本でも有効

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2013/2/14 7:00
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(2013年2月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

「困難に陥るのは、何かを知らないからじゃない。知らないことを知っていると思い込んでいるからだ」。マーク・トウェインのこの言葉は、金融政策や銀行政策にぴたりと当てはまる。苦境にある欧米の国々は過剰なマネーに苦しんでいると確信する人たちがいる。一方でオーソドックスな政策立案者は、民間部門の支出をとにかく回復させることが経済を復活させる正しい方法だと思っている。政府の支出を紙幣の印刷で賄う財政ファイナンスは命取りだとほとんどの人が認める。これらの見方はすべて間違いだ。

■銀行の貸し付けが不足

日本は財政ファイナンスをすべきなのか(日銀本店)=ロイター

日本は財政ファイナンスをすべきなのか(日銀本店)=ロイター

金融政策は既に緩和されすぎだと主張する人は、金利水準の異常な低さや肥大化した中央銀行のバランスシートを引き合いに出す。しかし、第2次世界大戦後の金融経済学の大御所ミルトン・フリードマン氏によれば、重要なのはマネーの量だけだ。

中央銀行のバランスシートの急拡大や超低金利にもかかわらず、広義のマネーの量は金融危機が始まって以来伸び悩んでいる。ニューヨークの調査会社、金融安定センター(CFS)の試算によると、ディビジア・マネー(広義のマネーの集計に使う、よく知られた手法)で見た広義のマネー「M4」は、2012年12月時点で1967~2008年のトレンドを17%も下回った。米国はマネーの過剰でなく不足に苦しんでいるのだ。

国際決済銀行(BIS)のクラウディオ・ボリオ氏が先日発表した論文「金融サイクルとマクロ経済学:我々は何を学んだのか」で指摘するように「預金はローンの組成に先立つ資金ではない。ローンが預金を生み出すのだ」。したがって、銀行が貸し付けをやめれば預金は伸び悩む。英国では、12年末の「M4貸付」が09年3月の水準を17%下回った。

■銀行の準備預金を増やす方法は非効率

ハイパーインフレがすぐそこに迫っていると信じる人たちは、銀行は中央銀行にある準備預金の水準に直接反応して企業などへの貸し付けを増やすと考えている。金本位制の場合には準備預金に限界があり、銀行はその水準に注意しなければならない。

しかし政府が作ったマネー(フィアット・マネー)の場合は、準備預金を無限に供給できる。もちろん中央銀行は、準備預金は有限という「ふり」ができる。だが実際は、支払い能力のある銀行に(周知のように、支払い能力のない銀行にも)無制限に準備預金を貸し付けることができる。

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