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サムスン、アップルをけん制 「融和派」の幹部異動

スマホ訴訟、神経戦に

韓国のサムスン電子がスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)で競合し、特許訴訟が続く米アップルをけん制する姿勢を強めている。アップルに融和的とされるメモリーマーケティング責任者を異動させたほか、同社からの半導体製造受託の価格を引き上げたもようだ。「顧客なのにライバル」という矛盾した関係は持続しにくくなってきた。

スマホ事業の成長でサムスンは自信を深めている(9月末、ソウル市内)

NAND型フラッシュメモリーDRAMを担当する戦略マーケティングチーム長の洪完勲(ホン・ワンフン)副社長を12日付でグローバルマーケティング室に異動させた。後任は置かず、メモリー事業部のトップが同チーム長を兼務する。

引責とはしていないが、同氏は米国の半導体法人のトップを務めた経験があり、どちらかというとアップルとの関係が良好。通常の人事異動の時期ではないこともあり、「反アップル」というメッセージ性の高い人事との受け止めが広がった。

サムスンはスマホでアップルと対決しながらも、2011年に半導体や液晶パネルで10兆ウォン(約7300億円)以上の部品を販売し、最大顧客としても遇してきた。

だが特許訴訟は8月、米連邦地裁の陪審がサムスンに不利な評決を下し、和解への道が狭まった。一方、今やサムスンはスマホの販売台数でアップルを上回り営業利益の半分程度を稼ぐ。「敵」としての互いの存在が大きくなり、訴訟での罵り合いも収まらない。

関係をさらにこじらせたのが9月発売の「iPhone(アイフォーン)5」。初期出荷の大半の部品の調達先から排除されたサムスンの社内では「アップル憎し」の空気が強まった。

人事異動に先立ち、サムスンはアイフォーン5向けに手掛ける数少ないビジネスであるCPU(中央演算処理装置)の受託生産の価格を引き上げることを決めたもようだ。現状ではサムスンしか製造できないため、アップルが受け入れざるを得ない弱みを突いた。

サムスンはスマホに続きタブレット(多機能携帯端末)でもアップルを追い始めた。米IDCによると7~9月期の出荷台数シェアは18.4%で前年同期比11.9ポイント上昇。アップルは50.4%で9.3ポイント落とした。

攻勢に出たサムスンも弱みがある。アップルの調達先から外された影響もあり、半導体部門は7~9月期の売上高が前年同期比8%減。アップルはCPUの製造委託を他社に切り替える検討に入っており、米テキサス州で40億ドル(約3200億円)をかけて整備しているサムスンの新ラインが宙に浮く可能性もある。

一方、アップルはサムスンを意図的に外せる半面、最上位の供給者がいなければ部品購買で競争原理が働きにくくなる。このため距離を近づけたり遠ざけたりする公算が大きい。訴訟とシェアの行方、そして世論を横目に、両社が互いを締め付ける機会をうかがう動きが激しくなりそうだ。(ソウル=尾島島雄)

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