中国外食企業の経営環境が悪化 コスト上昇と売り上げ鈍化で
中国の飲食業の業界団体、中国料理協会は2012年1~6月期の中国の外食市場の分析の中で、外食企業の経営環境が悪化しているとの見方を示した。景気減速で売上高の伸びが鈍化する一方、人件費などのコスト上昇で利益が圧迫されているという。
同協会は、中国国家統計局発表の外食産業の売上高の動向を踏まえ、業界の状況を独自に分析した。
国家統計局によると1~6月期の社会消費品小売総額(小売売上高)のうち外食産業の売上高は1兆837億元(約13兆3300億円)だった。前年同期比13.2%増だったが、伸び率は3ポイント低下。上半期の伸び率が15%を下回ったのは、新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した03年以来。
同協会は、売上高の伸びの鈍化は景気減速で企業の宴会需要などの伸びが鈍ったことが響いたとみる。ファストフード大手の売上高伸び率は10%前後と業界全体より低く、新規出店数は計画の2~3割程度にとどまっていると指摘。中国式鍋料理企業では客席回転率が過去最低水準という。
一方、店舗の賃貸料、人件費、光熱費や水道料金、食材原料などのコストはいずれも昨年より上昇していると強調。経営環境の悪化で広東省など一部地域では店舗閉鎖や、経営破綻するケースが出ているという。
同協会は今後の見通しについて、経済情勢は不透明ながら飲食需要のピークを迎える下半期は引き続き緩やかな成長を維持すると分析。12年は年間で、売上高は2兆3000億元に達し、伸び率は15%前後になる見通しだと説明している。(大連=進藤英樹)