2019年5月21日(火)

[FT]米のLNG輸出でも欧州のロシア依存は続く

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2014/3/13 14:00
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ロシアがウクライナ南部クリミア半島に対する影響力を強める一方、米国が持つ"戦略兵器"の1つを投入すべきだという声が高まっている。それは「エネルギー」だ。

なかでも米国の共和党議員は、天然ガスと原油の輸出規制を緩和し、世界市場におけるロシアの地位を揺るがすようオバマ政権に求めている。

天然ガス採取に利用するパイプ(テキサス州)=AP

天然ガス採取に利用するパイプ(テキサス州)=AP

その訴えは分かりやすい。米国はシェール革命により、自国資源を利用して、武力を使うことなく、エネルギーを武器にした外交ができるようになったとみえるからだ。

残念ながら、現実はそれほど単純でない。米国はなお原油の大きな純輸入国であり、仮に米国からの原油輸出制限を廃止しても、国内生産は増えるかもしれないが、ロシアの原油輸出を損なうほどではないだろう。

12日に示された米国の戦略備蓄石油の大規模な放出方針はもう少し大きな影響力を持つ可能性があるが、米国の石油業界やサウジアラビアなどの同盟国に打撃を与えかねない。

■米の輸出可能量では足りない

天然ガスについては話が別だ。液化天然ガス(LNG)は米国だけでなくカタールやオーストラリアからも輸出が増え、世界的な取引量が膨らんでいる。従来は各地に分散していた国際ガス市場はグローバル化している。

米コロンビア大学グローバルエネルギー政策センターのジェイソン・ボードフ氏は、天然ガス市場のグローバル化によって供給源の選択肢が増えたため、ロシアが欧州市場を独占することは困難になったと指摘する。

LNGの輸出増はロシアの影響力をいくらか低下させるかもしれないが、エネルギーの勢力図を一変させるという主張は極端だ。

米国のLNG輸出量が、欧州がロシアから輸入する分をすべて代替する可能性は低い。現状では米国内の5カ所のプラントが、欧州連合(EU)加盟国を含む、米国と自由貿易協定(FTA)を締結していない国に対し、天然ガスを日量85億立方フィートを上限に販売することができる。国際エネルギー機関(IEA)によると、欧州のロシア産ガス輸入量は昨年、平均で日量約160億立方フィートに達した。米国の輸出可能量の2倍近い。

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