2019年6月20日(木)

中国企業の会計不信 ムーディーズが6社名指し
米中間の新たな火種に

2011/7/12付
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【香港=川瀬憲司】香港を含む海外市場で上場する中国企業の会計不信が一層拡大している。米格付け会社は11日付のリポートで、企業統治などの観点から潜在的なリスクが高いとして6社を「名指し」。米政府は中国国内の監査法人に対する監査の共同実施を要請するため北京に代表団を派遣した。会計不信問題は株価の重荷となりかねないうえ、米中間の新たな火種に発展する可能性もある。

米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは金融機関を除く格付けの低い中国企業61社を対象に調査。企業統治の弱さや不透明なビジネスモデル、収益・キャッシュフローの質の悪さなどの要注意点を20本の「赤い旗」で表し、旗の数が特に多い6社については個別に解説を付けて社名を公表した。

最多の12本は陝西省に拠点を置くセメント会社の中国西部水泥。会長とその娘が株式の44%を握る保有構造や数年で2度の監査法人の交代などが理由だ。このほか石炭輸送会社の永暉焦煤や、テナルド石と呼ぶ鉱物を生産する中国旭光高新材料集団も10本以上だった。

ムーディーズの指摘を受け、6社のうち香港に上場する5社の株価は12日、商いを伴って大きく下落。5社の株価の下落率はハンセン指数の下げ幅の3%を上回った。

中国西部水泥は株価急落と売買高の急増について「理由は一切分からない」とする声明を発表。永暉焦煤はムーディーズのリポートに対し「現時点でコメントするのは適切ではない」としつつ「内容を容認したと受け止められることがないよう強調する」としている。

米国の上場企業会計監視委員会(PCAOB)と証券取引委員会(SEC)の代表団は12日、北京で中国の財政省と証券監督管理委員会(証監会)の幹部と会談した。米国代表団の団長を務めるルイス・ファーガソンPCAOB委員は会談の狙いを「PCAOBに登録し中国に拠点を置く監査法人を共同で監査できるよう合意するため」などと説明している。

米国はエンロン事件を契機とする会計不信の高まりへの対応として、2002年に企業改革法(SOX法)を制定。米国で上場する企業はPCAOBに登録する監査法人の会計監査を受ける必要がある。PCAOBはSOX法を根拠に中国側に共同監査を求めているが、中国側は自国の監査法人に対する監査は主権にかかわるとして難色を示しているもようだ。

中国企業の上場先が上海と深センにとどまっている間は、会計不信は国内問題だった。大手監査法人デロイト幹部の張玉林氏が11日、香港での講演で「問題は以前からあった」と指摘するように、中国企業の会計不信は新しい問題ではない。

問題が注目されるようになったのは中国企業の海外での上場数が急増したここ数年。米SECは4月にも、既存の上場企業を買収して経営権を握り、正規の審査を経ずに米国で上場した中国企業3社の売買を一時停止した。米政府は自国の投資家保護の観点から今後も中国側に強い姿勢で臨む可能性があり、中国の会計不信問題が深刻化する恐れもありそうだ。

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