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ニホンウナギ、絶滅危惧種に指定

【ジュネーブ=原克彦】世界の科学者らで組織する国際自然保護連合(IUCN、スイス)は12日、絶滅の恐れがある野生生物を指定する最新版の「レッドリスト」にニホンウナギを加えたと発表した。法的な拘束力はないが、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約が保護対策の参考にしている。資源量が回復しなければ輸出入が規制され、取引価格の上昇を招く可能性もある。

IUCNはニホンウナギを「絶滅危惧1B類」に指定した。「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い」と定義され、絶滅危惧種の3区分のうち危険度で2番目に該当する。指定の理由には生息地が減少したことや過剰な捕獲などを挙げた。環境汚染や海流の変化も考慮したという。

ウナギ類の評価を担当した専門家グループ委員長のマシュー・ゴロック博士は発表文でニホンウナギの状況に「大きな懸念」を表明。一方、レッドリストに加えたことで「保全に向けた取り組みの優先度を高められる」との期待を示した。

IUCNのレッドリストは最も権威のある絶滅危惧種の評価資料とされる。ワシントン条約は2016年に次回の締約国会議を開く予定。参加国がニホンウナギの保護を提案すれば、規制対象になる公算が大きい。米国は13年の前回会議で「アメリカウナギやその他の全てのウナギ」を条約で規制する提案を検討し、見送った経緯がある。

同条約の保護対象になると、輸出の際に輸出国の政府許可証が必要になったり、分類によっては商業目的の国際取引や公海での漁獲物の水揚げが禁じられたりする。消費するウナギの多くを輸入に頼る日本では、価格に上昇圧力がかかる。

ニホンウナギは日本をはじめ中国、韓国など東アジアに広く分布する回遊魚。人工養殖が実用化されていないため、天然の稚魚シラスウナギを漁獲して育てている。個体数の減少を受け、13年2月には日本の環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定された。

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