[FT]米個人情報収集は国の「正当な仕事」の側面も

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2013/6/12 7:00
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(2013年6月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

エドワード・スノーデン氏の第一印象はなかなかよい。ユーチューブに投稿されたインタビューからは、近所に住む思慮深い青年という感じが伝わってくる。ウィキリークスの首謀者で神経質そうなナルシストのジュリアン・アサンジ氏とは違い、自分の娘のデートの相手であっても悪くはないように見える。

米国家安全保障局(NSA)が個人情報を収集していた問題で、取材源と名乗り出た元CIA職員のエドワード・スノーデン氏を擁護する人たちがデモ(10日、ニューヨーク)=AP

米国家安全保障局(NSA)が個人情報を収集していた問題で、取材源と名乗り出た元CIA職員のエドワード・スノーデン氏を擁護する人たちがデモ(10日、ニューヨーク)=AP

第一印象は重要だ。なぜなら、ばりばりのリバタリアンか冷酷な治安当局者なら話は別だが、米国政府がサイバースペースでのぞき見をしているというスノーデン氏の暴露情報に接すれば、普通の人は矛盾した感情にとらわれるからだ。

自分の電子メールやインターネット上の行動の記録などが、(米国家安全保障局の本部がある)メリーランド州や(英政府通信本部がある)チェルトナムの巨大なスーパーコンピューターに保存されているとなれば、誰だっていい気はしない。とはいえ、サイバースペースで何が起こっているかを政府が監視することについて安全保障上の正当な理由があるという議論には、ほとんどの人が納得している。

■現実に感じられない理論的な脆弱性

どちらかと言えば、筆者は自分のプライバシーについてはさほど気にならない性格だ。知人の中には、ロンドン市内を歩く間に自分は何台の監視カメラに録画されるのだろうかと真剣に心配している人もいるが、筆者はそれが気になるとはとても言えない。同様に、自分の電子メールが米国政府や英国政府にチェックされるかもしれないという話は確かに面白くないが、これはまだいくぶん抽象的な心配であるように思われる。

これは決して、筆者がいわゆる「法を順守する市民」で「恐れることなど何もない」からではない。確かに、最近何か法律違反を犯したかと言われてもすぐには思いつかない。ただ、明らかな犯罪行為だと見なされることを大きく超越するプライバシーの領域が自分にはあると信じたいと思っている。

誰かが自分の電子メールを勝手に読んだり、グーグルでの検索を盗み見したりする可能性があることについて、筆者が比較的落ち着いていられるのは、「後ろめたいことが何もない」からではない。この理論的な脆弱(ぜいじゃく)性が現実世界に何らかの結果をもたらしたという事例を目で見たり実感したりしたことが、今のところはないからだ。

知人にも、そういう人は1人もいない。個人情報をのぞき見した政府が善良な市民をわなにかけたり恐喝したりしたという重大なニュースが報じられたという記憶もない。

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