パソコン世界出荷、過去最大の落ち込み 1~3月期、14%減
米調査会社のIDCは10日、1~3月期のパソコン世界出荷台数が前年同期比13.9%減の7629万4千台だったと発表した。同社がパソコン出荷動向の調査を始めた1994年以来、最大の落ち込み幅となった。スマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)の普及に伴い、パソコンの苦境が鮮明になっている。
パソコン出荷台数は4四半期連続の前年割れ。IDCは1~3月期の世界出荷台数を同7.7%減になると予想していたが、実績は大きく下回った。消費者がタブレットなどモバイル機器への支出を優先、パソコン各社が昨秋以降に発売した新製品が振るわなかったことも影を落とした。
米マイクロソフト(MS)は昨秋、新基本ソフト(OS)「ウィンドウズ8」の販売を開始。パソコン各社も同OSを搭載したパソコンを相次いで投入した。新OSは手で触れて操作するタッチパネルに対応し、タブレット利用者の取り込みを狙ったが、IDCは「タッチ機能に対応したためパソコンの価格が上昇し競争力が下がった」と分析した。
MSの株価は10日、前日比0.67ドル(2.3%)高の30.28ドルで通常取引を終えたが、時間外取引では一時、同日終値より2%超下落した。
パソコン出荷台数を地域別に見ると、市場規模が世界最大になった中国を含むアジア太平洋が前年同期比12.7%減。同地域が2桁減少したのは初めて。中国の公共部門の投資抑制などが影を落としたもよう。米国が同12.7%減ったほか、欧州や日本を含めて全地域で前年割れとなった。
メーカー別シェアは米ヒューレット・パッカード(HP)が15.7%と首位を守ったが、出荷台数は同23.7%減と大幅に落ち込んだ。各社が軒並み出荷台数を減らすなか、中国のレノボ・グループは米国などで出荷を拡大して全体でも前年並みを維持し、15.3%のシェアを獲得。首位HPとの差を縮めた。
(シリコンバレー=奥平和行)