最悪の事態、アピシット政権苦境に タイ反政府デモ

2010/4/11付
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【バンコク=高橋徹】タイの首都バンコクで市街地を占拠して続けられてきた反政府集会は、治安部隊による強制排除で少なくとも死者8人、負傷者約520人が出る最悪の事態となった。政治混乱の平和解決を要請してきた国際社会からの信用低下は免れず、アピシット政権は発足以来最大の苦境に立たされた。

今回の反政府デモの契機となったのは、2月下旬の最高裁判決だ。タクシン元首相一族の資産の6割にあたる約464億バーツ(約1390億円)が職権乱用による不正蓄財だとして没収を決めた。これに抗議するタクシン派が3月半ばから、アピシット首相辞任と下院解散を求めバンコクで大規模集会を展開してきた。

3月下旬には首相とタクシン派の2度の直接会談が実現したが、解散時期を巡って物別れに終わった。その後、タクシン派はデモを一段と拡大。今月4日には今回の流血事態が起きた首相府近くの交差点から、大型ショッピングセンターや高級ホテルが立ち並ぶバンコク最大の商業地区へと主力拠点を移し、交差点と周辺幹線道路を占拠する戦術に出た。

周辺の商業施設は軒並み臨時休業に追い込まれ、市内交通もマヒ。産業界や市民からは事態の早期打開を求める声が日増しに高まっていた。

アピシット首相にとっての誤算は、13日からのタイ正月(ソンクラン)が近づいてもデモ隊に撤収の気配がなかったことだ。地方農民が主体のデモ隊は、正月に向けて帰郷するとみていたが「最後の戦い」を掲げるタクシン派はデモを続行。タクシン派が表立っては暴力手段に訴えることを注意深く避けていたこともあり、実力行使を一貫して避けてきた首相も、ついに強硬手段に訴えざるを得ず、銃も用いたデモ隊の抵抗で事態が一気に激化した。

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