2018年12月16日(日)

CDS、ギリシャ国債に発動 債務不履行の損失保証

2012/3/10 11:49
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【ロンドン=松崎雄典】デリバティブ(金融派生商品)の取引慣行などを決める国際金融団体は9日、ギリシャ国債のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の契約者への保険金支払いが必要になるとの判断を発表した。ギリシャ政府が同日、一部民間投資家の債務強制削減を決定したことが、デフォルト(債務不履行)にあたると認定した。市場は今のところ冷静な反応を示しているが、強制的な債務カットがポルトガルなどにも連鎖することへの警戒感も浮上している。

ギリシャ政府によれば債務削減への自発的参加率は83.5%。同政府は9日夜の閣議で、同意しない債権者にも参加を強制する「集団行動条項」の発動を決定した。最終的な参加率は95.7%に達し、削減される債務は約1000億ユーロ(約11兆円)の見通し。これによりギリシャ支援は前進。ギリシャは今月20日の国債大量償還を乗り切れる見込みとなり、同国が無秩序なデフォルトに陥る事態は当面回避された。

集団行動条項は債権者の大半の同意があれば、同意しない債権者にも債務減免を強制できる仕組み。民間投資家保有のギリシャ国債2060億ユーロのうち、ギリシャ国内法に基づき発行された1770億ユーロについて適用される。既に1520億ユーロ分は投資家が自発的に債務削減に応じたため、強制削減の対象は250億ユーロ程度。海外法に基づく発行分も含めた最終的な参加率は95.7%とみられる。

強制カット決定を受けて、国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)は9日、ギリシャ国債のCDSがデフォルトに伴う損失補填の対象になると判断した。CDSの契約をしていた投資家には「保険金」が支払われる一方、CDSを発行していた売り手には支払いが発生する。

2008年のリーマン・ショックでは大量のCDSを発行していた米保険大手AIGが経営危機に追い込まれ、米政府による救済の一因になった。CDSのリスクの大きさへの警戒感は強いが、ギリシャ国債のCDSの場合は売り手が分散。同一の金融機関や投資家が売り手と買い手を兼ねる例も多いとされ、CDSの残高(同一金融機関や投資家内部での売り残と買い残を相殺したネット)は2日時点で32億ドル(約2600億円)。保険金支払額も最大32億ドルとなるが、ISDAは実際には24億ドル程度になるとの試算を開示した。

業界関係者は19日にCDSの支払率を決定するが、現時点では今回のCDS決済がもたらす金融システムへの影響は大きくないとみられている。CDSは通常、90%以上の金額分の損失が引き当て済みという。今回、CDS契約者への保険金が支払われることになったことで、国債のCDS市場が機能不全に陥りかねないとの市場の懸念は後退した。

一方、市場ではポルトガルやアイルランドにも強制的な債務削減が波及することへの懸念が広がるおそれがある。9日の市場では両国の国債利回りは安定した動きだった。だが、ポルトガルは13年後半を目指す国債発行再開が難しいとみられており、債務削減や追加融資の必要性が指摘されている。

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