スイス、移民流入に上限設定へ EUとの関係悪化も

2014/2/10付
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【ジュネーブ=原克彦】スイスで9日に実施した国民投票で、移民の受け入れに上限を設ける提案が賛成多数で可決された。政府は3年以内に具体的な上限を決める。外国人が人口の25%近くを占め、雇用を奪われることなどへの国民の不満を反映した。相互に人材の自由移動を認める欧州連合(EU)との関係悪化につながりかねないほか、欧州での移民排斥運動が勢いづく可能性がある。

賛成50.3%に対し反対は49.7%と僅差での可決だった。提案は憲法改正を要するため26州のうち半分以上の州で賛成が半数を上回る必要があったが、この要件も満たした。多国籍企業や国際機関が多いチューリヒ州やジュネーブ州では反対が過半数を占めたものの、人口の約7割を占めるドイツ語圏の州は大半で賛成が反対を上回った。

労働力の多くを外国人に依存している実態もあり、移民規制の強化についてはスイス政府や経済界が強く反対。スイス銀行家協会は9日、ツイッターで投票の結果に不満を表明し「EUとの建設的な協議が必要だ」とコメントした。

国民投票は保守派政党が実現を働きかけた。移民が押し寄せてスイス国民の雇用が脅かされ、住宅の価格や賃料が高騰する原因にもなっていると主張していた。スイスの人口約800万人に対し、EU出身者だけでも年6万4千人が流入。欧州債務危機後も景気が底堅く推移し、所得水準も高いことが人材を吸い寄せている面もある。

EUの欧州委員会の報道官は9日、「EUはこの提案の影響をスイスとの全体的な関係の中でみていく」と発言した。EU非加盟のスイスは、EUとの間で人材の自由な移動を認め、相互に市場アクセスを与える条約を結んでいる。スイスが移民規制のために条約の改定を申し出れば、EUが通商や金融での関係見直しを求めかねない。

欧州では失業率が高止まりしていることもあり、移民流入を規制しようとする運動が活発になっている。5月の欧州議会選挙で移民排斥やEU離脱を訴える各国の「反統合派」の勢いに弾みがつくかが焦点となる。

AFP通信によると、英国で反移民を主張する独立党の党首が歓迎の意を表明。フランスの極右政党も国民投票の結果を評価する声明を出した。

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