2019年2月16日(土)

ミャンマー西部に非常事態宣言、宗教・民族間対立で

2012/6/11付
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【バンコク=高橋徹】ミャンマー西部でイスラム教徒と仏教徒の宗教・民族対立が激しくなり、同国政府は10日夜、バングラデシュとの国境にあるラカイン州全域に非常事態を宣言した。これに先立ち、国営放送を通じて演説したテイン・セイン大統領は「このような抗争が続けば、現在進める民主化改革の遂行が困難になる」と述べ、すべての宗教組織や政党に対し事態収拾へ向けた政府への協力を要請した。

昨年3月に発足したテイン・セイン政権下で、ミャンマー国内に非常事態宣言が発令されたのは初めて。ラカイン州では同時に午後6時から午前6時までの夜間外出や市民5人以上の集会が禁じられ、政府は国軍に治安維持活動の強化を命じた。

同州では先月、少数民族ラカイン族の仏教徒の女性が、イスラム教徒とみられる男3人組に暴行・殺害される事件が発生。怒ったラカイン族住民が報復にイスラム教徒を殺害し、宗教・民族間の対立が先鋭化。双方がバスや住宅などを襲撃し、これまでに計15人以上が死亡するなど、騒乱状態に陥っている。

ラカイン州はベンガル湾に面し、インドや中東への出入り口となる地政学上の要衝。非常事態宣言の対象地域にはインドが港湾開発を進める州都シットウェや、中国が大型港湾を建設、雲南省へつながる石油・天然ガスパイプラインの起点となるチャオピューが含まれる。

ミャンマーでは130を超す少数民族の問題が政治情勢を不安定にしてきた。人口の7割を占めるビルマ族に反発、主に東部側の中国やタイとの国境地帯を本拠とする一部が武装闘争を展開してきたためだが、テイン・セイン政権は停戦・和平協議を進めている。ただ一方で、9割を占める仏教徒と少数派のイスラム教徒などとの宗教対立も重なっており、国内情勢を一層複雑にしている。

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