英暴動 各地に飛び火 400人以上逮捕、首相緊急帰国
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【ロンドン=上杉素直】ロンドン北部トットナムで6日夜に起きた警察官による黒人射殺事件をきっかけにした暴動は8日、第2の都市バーミンガムなど英国各地に広がった。キャメロン英首相は休暇を切り上げて急きょ帰国、9日に治安に関する緊急会議を開く。暴動が広がった背景として英政府が取り組んでいる厳しい財政緊縮策が低所得者の生活を圧迫していることも指摘されており、政府は難しい判断を迫られる。
英国放送協会(BBC)放送などによると、2012年のロンドン夏季五輪のメーン会場に近いロンドン東部ハックニーやバーミンガム中心部で放火や商店への襲撃が相次いだ。暴動の中心になっているのは若者で、警察当局はロンドンで300人以上、バーミンガムで100人をそれぞれ逮捕。少なくとも警察官計35人が負傷したと伝えられている。
暴動は6日深夜から7日未明にかけて、警察官の黒人射殺に抗議した若者らがトットナムで建物や自動車を焼き尽くすなどして始まった。トットナムだけでなく五輪メーン会場から数キロメートルの場所にあるロンドン東部や南部クロイドンに拡大。8日夜には英中部のバーミンガムやリバプールでも発生、黒人だけでなく白人も暴徒化している。
各地では商店やスーパーが襲撃され、ビルが炎上。警官隊と暴徒の衝突も起きている地域がある。路上の車やバスが次々に放火され、黒煙が上がった。クレッグ副首相は暴動が始まったトットナムを視察し、7日以降も相次ぐ暴動は「警察官による射殺事件と関係ない」と批判した。
ロンドンで暴動が起きた地域はいずれも、低所得者が比較的多く住む地域として知られ、失業者も多いとされている。