オリンパス損失隠し「異常な行い」 海外メディア
過去の企業買収を巡り巨額の損失隠しを認めたオリンパスに対して、海外の主要メディアは「異常な行い」「深刻な事態」などと厳しい表現を交えて手厚く報じた。
英紙タイムズ(電子版)は緊急記者会見を伝えた8日朝の速報で「オリンパスの経営危機はさらに深まる」とし「異常な行いに最初に疑問を呈して解雇された英国人元社長の汚名が返上された」と論じた。与党の民主党が日本の企業統治や株式市場を検証する組織を設けたことにも触れ、問題の広がりを指摘した。
目立つのは解雇された元社長、マイケル・ウッドフォード氏の主張を改めて紹介する記事だ。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は「何が行われているか3人しか知らないという主張は尋常ではない」という同氏のコメントを引き、疑惑の全容がなお晴れていない可能性をにじませた。英国放送協会(BBC)は「オリンパスにとって極めて深刻な事態」との識者の見方を伝えた。
オリンパスはデジタルカメラやICレコーダーで欧州の消費者にも有名なブランド。ドイツのメディアの関心も総じて高く、8日付の独誌シュピーゲル電子版は「巨額の損失先送りを企てたオリンパスには、過酷な制裁が下される見通し」と警戒感を示すとともに「株式の上場廃止を迫られるだろう」と予測した。
独DPA通信はイタリアやギリシャの財政危機問題に加えてオリンパスの不祥事が投資家の失望を招き、8日の東京株式市場で株価が大きく下落したと伝えた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)の記事は「日本企業の歴史で過去最大で最長の損失隠し」などと重大さを強調。オリンパス側の新たな説明を踏まえ、破綻した山一証券の例も出しながら1990年代のバブル崩壊後に日本企業でみられた「飛ばし」と呼ばれる損失隠しの慣行を想起させるとした。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は高山修一社長が謝罪する様子など記者会見の模様を詳報する一方で、米連邦捜査局(FBI)や米証券取引委員会(SEC)が損失隠しの経緯について調査に乗り出している点に言及した。ケイマン諸島の投資ファンドとの関係など「疑問点が残る」とも付け加えた。