G20の失業者は7000万人 ILO上期調査、雇用対策の強化要請
【ジュネーブ=藤田剛】国際労働機関(ILO)は8日、20カ国・地域(G20)の雇用情勢に関する調査結果を発表した。2010年上半期は09年に比べ10カ国で失業率が上昇し、失業者数は全体で7000万人に達した。ILOは「雇用は依然としてぜい弱」と見ており、ソマビア事務局長が11日からソウルで開かれるG20首脳会議(サミット)に出席し、各国・地域に雇用対策の強化を要請する。
7000万人の失業者のうち、3750万人は先進国で発生している。失業率を国別で見ると、ブラジルやロシアなどの新興国で改善の動きが見られる一方、日米欧などの先進国では悪化が続いている。平均失業率は7.8%で、最も低いのは韓国の3.9%だった。
年代別では若年層の失業率が19%に達した。企業が新規採用を絞るなか、専門知識や経験の乏しい若年層がしわ寄せを受けているため。業種別では、製造業や建設業の雇用悪化が目立つ。性別で見ると、女性の失業率が男性よりも低く、特に新興国では女性の雇用が拡大している。
ILOは「生産年齢人口の増加分だけを考えても、G20は今後10年間は毎年2100万人の雇用を創出する必要がある」と指摘し、各国・地域に雇用を重視した成長戦略をつくるよう求めた。