2019年8月25日(日)

[FT]米国債格下げの影響、本当に怖いのは(社説)

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2011/8/9 7:00
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(2011年8月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債の格下げは意外ではなかったはずであり、世界の金融市場に直接与える影響は限定的だろう。S&Pは先に米国債を格下げ方向で見直す「ネガティブウォッチ」に指定して警告していたし、格下げは米国政府の壊れた財政制度について、投資家がこれまで知らなかった情報を与えはしなかった。また、ほかの格付け機関は今のところ米国債の格付けを維持している。しかし、格下げの間接的な影響はもっと厄介なものになるかもしれない。

■格下げの連鎖起こるか

スタンダード・アンド・プアーズは米国債の長期格付けを引き下げた(ニューヨークにある同社のビル)=ロイター

スタンダード・アンド・プアーズは米国債の長期格付けを引き下げた(ニューヨークにある同社のビル)=ロイター

米連邦準備理事会(FRB)は即座に、FRBが引き続き米国債を担保として受け入れ、格下げの結果、銀行が自己資本比率に関する罰則を科されることはないと発表した。週末に関係者が電話会議を重ねた先進7カ国(G7)や主要20カ国・地域(G20)の財務省からも、同じような確約の言葉が出始めている。

だが、S&Pの格下げに続き、早ければ8日にもファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)やフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)などの米国政府系機関の格付けに関する発表がある。このため格下げがさらに続く可能性は高い。8月5日の米国債格下げの判断が、次第に金融資産全体に及ぶにつれ、公的機関だけでなく企業も含めた借り手の格付けが連鎖的な格下げに見舞われるかもしれない。

■行き過ぎた懸念呼ぶ恐れ

格下げは米国の財政政策と経済全体に残るリスクへの懸念を強める恐れがある。ある意味、それは良いことだろう。運が良ければ、米国の政策当局者はこうした懸念にせきたてられ、自国の長期的な財政問題に取り組むうえで、より責任を持ち、より賢明に行動するかもしれない。

その一方で格下げは、そもそも正当な理由があって欧米経済に対する信頼が低い時に、国債利回りを上昇させ、行き過ぎた懸念を引き起こす恐れがある。

根本的な返済能力という点では、米国債は依然、世界で最も安全な債券の1つであるはずだ。確かに、長期的には米国の公的債務は危険な軌道に乗っており、これは金利の上昇や金融の脆弱性が増す恐れがあることを意味している。だが、米国が債務を返済できなくなる危険は今のところ見えない。

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