2019年7月22日(月)

欧州企業の減収相次ぐ 7~9月期、ユーロ高が重荷に

2013/11/6付
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【パリ=竹内康雄】回復の兆しが見え始めていた欧州企業の業績が足踏みしている。新興国も含めた幅広い通貨に対し今年夏ごろからユーロ高が進んだ影響で減収になる企業も相次いでいる。債務危機で苦しんだ欧州経済には明るさも出ているが、この傾向が続けば企業主導での景気の反転に水を差しかねない。

ブラジルなどに生産拠点を持つ仏自動車大手ルノーの7~9月期の売上高は前年同期比3.2%減の80億ユーロ(約1兆円)。新興国の通貨に対するユーロの上昇が売上高を4億4千万ユーロ分押し下げた。対応策として新興国の販売価格を引き上げ始めたが「為替変動分を補うほどではない」(広報担当者)という。

■新興国が不振

7~9月期の売上高が前年同期とほぼ同じ53億ユーロだった仏ダノンは「新興国の通貨安が売上高を7.2%押し下げた」と説明する。新興国で6割近くを売り上げる英蘭ユニリーバの売上高は前年同期比3.2%増と前期の5%増から減速した。

グッチなどを傘下に置く仏ケリングの7~9月期の売上高は前年同期比1.5%減の25億ユーロ。為替変動分などを除けば3.4%増だった。仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)の1~9月期売上高は前年同期比4%増だったが、為替変動分などを除けば8%増だった。高級ブランドは、ドルや円に対するユーロ高の影響が大きい。

ユーロ相場は米金融政策の緩和縮小観測や、欧州景気の回復基調を背景に幅広い通貨に対して上昇している。直近で最も安かった昨夏に比べると、対ドルでは15%弱上昇し、現在は1ユーロ=1.35ドル前後。対円では約4割上がり、1ユーロ=133円程度までユーロ高が進んでいる。ブラジルレアルやインドルピーに対してはこの夏と比べて1割以上高い水準にとどまっている。

2013年通期の業績予想を引き下げる企業も相次いでいる。イタリアのフィアットは13年通期の営業利益の下限を40億ユーロから35億ユーロに下方修正。独アディダスは13年通期の営業利益を前年比9%増の予測から8.5%増に引き下げた。

金融情報会社トムソン・ロイターが欧州の主要600社を対象に集計したところ、前週末1日時点では1株あたり利益(EPS)が前年同期比13%減と、事前予想の5%減程度を下回っている。4~6月期の9.5%減からも減益率が拡大する見通しだ。ユーロ高の影響に加えて、新興国の需要鈍化の影響もあり、売上高も同2%減にとどまっている。

■株高は期待先行

欧州の株式市場では、このところ企業業績の改善期待を背景に資金が流入。主要600社で構成するSTOXX600は5年ぶりの高値圏にある。アナリスト予想などでは欧州企業の業績は10~12月期以降は増益基調に転じるとみられているが、足元の株高は期待先行の面があるといえる。

欧州企業にとってはユーロ高が続くかどうかが関心事だ。10月31日に発表されたユーロ圏の消費者物価指数(CPI)が弱い伸びを示したことで、欧州中央銀行(ECB)による早期利下げ観測が浮上。「米経済の回復と併せ、今後1年はユーロはゆっくりと安くなる」(UBSのマーチン・ルエックエコノミスト)との声もある。

ただ米債務問題が来年早々には再燃するといったドル安材料もあり、欧州企業は先行きを注視している。

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