米、シリア攻撃支持拡大へ外交戦加速 国務長官は欧州歴訪 - 日本経済新聞
/

米、シリア攻撃支持拡大へ外交戦加速 国務長官は欧州歴訪

オバマ米政権がシリア攻撃への支持を拡大するために外交戦を加速させている。国務省は5日、米国によるシリア攻撃への支持を表明したカナダなど9カ国の国名を発表。ケリー国務長官は6日から欧州3カ国を歴訪し、欧州連合(EU)外相会合などで米国の立場への支持を求める。

国務省のサキ報道官は5日の記者会見で、シリアへの軍事攻撃を支持する国名を挙げた。カナダ、オーストラリア、アルバニア、コソボ、デンマーク、フランス、ポーランド、ルーマニア、トルコの9カ国。報道官は「米国の軍事行動に明確な形で支持を表明している」と強調した。

ケリー長官は6~9日の日程で、リトアニア、フランス、英国の3カ国を訪問する。リトアニアでは6、7両日に開くEU外相会合に出席。EUのファンロンパイ大統領はシリアへの軍事行動に反対する立場を明らかにしている。ケリー氏は化学兵器の使用実態などを改めて説明し、軍事行動の正当性を訴える。

また米国のパワー国連大使は5日、シリア情勢に関して「安全保障理事会に前途はない」と国連本部で記者団に語った。シリアのアサド政権を擁護するロシアが「安保理を人質にとり、国際的な義務を縮小させている」と厳しく批判。安保理によるシリア制裁決議を経た対応が困難との認識を示した。

パワー大使は「安保理はガス(化学兵器)で亡くなった何百ものシリアの子どもを守れず、地域の安全も守れなかったのに、アサド政権のパトロンであるロシアの特権を守っている」と述べ、ロシアを名指しして痛烈に批判した。「この危機に取り組むために世界が必要としている安保理は、現在の安保理ではない」とも指摘した。

国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は安保理による決議を経たうえでの解決を訴えかけている。5日のパワー大使の発言は安保理での決議採択が不可能との認識を示したものだ。

一方、米議会の上院は外交委員会が可決したシリアへの軍事攻撃を認める決議案を巡り、来週前半の本会議採決に向けた調整を進めた。可決には過半数(51人)の賛成が必要だが、4日夕時点の米紙ワシントン・ポストの集計によると、賛成を表明しているのは23人にとどまる。24人が反対あるいは反対に傾いていると答え、53人がまだ態度を決めていないとした。

ロシアで開かれている20カ国・地域(G20)首脳会議に出席しているオバマ大統領は、現地から与野党の上院議員に早期可決を働き掛けた。帰国後も週明けの西部カリフォルニア州で予定していた資金集めパーティーへの出席を取りやめ、議員への働き掛けに注力する意向だ。(ワシントン=中山真)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません