メコン川流域国が首脳会議、ダム建設巡り対立

2014/4/5付
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【ホーチミン=伊藤学】インドシナ半島を流れるメコン川流域国の首脳らは5日、首脳会議を開き、水力発電開発の調査強化などを盛り込んだ「ホーチミン市宣言」を採択した。上流のラオスのダム建設による水位低下を懸念する国々の意向が反映された形だが、利害対立は根深く、水資源が東南アジアの新たな火種になる可能性がある。

流域4カ国で構成するメコン川委員会(MRC)がベトナム南部ホーチミン市で開催した。メコン川の水利用や環境保全で焦点となったのが、ラオスのダム建設だ。

ラオス政府は同国南部のメコン川本流で水力発電用の「ドンサホンダム」を建設予定だ。発電容量は26万キロワットで、マレーシア企業が開発を手がける。現地メディアは早ければ9月にも建設が始まると報じている。

だが、同ダム建設で水位低下や生態系への影響が予想されており、下流域のカンボジアとベトナムは建設に強く反対する。「(各国間の)協議や適切な管理なしで開発が進めば、メコン川は取り返しのつかない変化のリスクにさらされる」。カンボジアのフン・セン首相は5日の会議で間接的にラオスをけん制した。

ベトナムのグエン・タン・ズン首相も「メコン川本流での水力発電計画の影響を含め、持続可能な管理・開発の調査を最優先すべきだ」と訴えた。両国はダム建設延期とMRCによる環境調査を要請。「ホーチミン市宣言」は両国の意向を踏まえた内容となった。

しかし、MRCに強制力はなく、流域国も一枚岩ではない。電力需要が旺盛なタイは、自国企業を使ってラオス国内のメコン川本流で「サイヤブリダム」を建設中だ。タイ発電公社が同ダムの電力を買い取る契約を結ぶ。小国ラオスにとって売電は主要産業。同ダムも延期勧告を振り切って建設を強行した経緯がある。

中国企業もラオスで多くのダム建設を手がけている。本会議にオブザーバーとして参加した中国は、同国企業によるメコン地域での水力発電開発を「積極的に支援していく」と主張した。

国際河川のメコン川は流域の約6000万人が飲料水や農業・工業用水として利用し、河川や河口での漁業や水産養殖も盛んだ。経済成長が進む流域各国で水利用や電力開発の必要性が増すのは必至で、利害調整はますます難しくなりそうだ。

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