著名投資家バフェット氏、米への大型投資継続

2013/5/6付
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著名投資家ウォーレン・バフェット氏が経営する米投資会社バークシャー・ハザウェイが4日、株主総会を開いた。株式市場に大きな影響力を持つバフェット氏は「米国の将来は明るい」と強調、大型買収を続ける意向を示した。一方、米量的緩和の縮小や停止が現実になれば混乱が広がりかねないとも指摘。金融危機後から一貫して株価の先行きに強気だったバフェット氏にも、微妙な心境の変化があるようだ。

「多くのチャンス」

バークシャーが本社を構える米中西部の都市オマハ。「オマハの賢人」とも呼ばれるカリスマ投資家の話を聞こうと、日本や中国など世界中から約3万5000人の株主が集まった。全米最大級の株主総会は質疑応答をたっぷりと取り、昼食を挟んで約6時間続いた。

「より多くのチャンスが待ち受けている」。バフェット氏が強調したのは米国への揺るぎない信頼だ。景気が低迷する欧州に対し、米経済は金融危機からいち早く立ち直ってきた。バークシャーの傘下企業による設備投資額は2012年に過去最高の98億ドル(約9700億円)に達した。このうち9割近くを米国内の投資が占めている。

2月には米食品大手HJハインツの共同買収を決断。投資銀行ゴールドマン・サックスをはじめ、金融危機後のバフェット氏の果敢な出資で復活のきっかけをつかんだ事例も少なくない。今回の総会でバフェット氏が新興国に大きな関心を示すことはなく、米国の優良企業への投資を続けていく方針が鮮明になった。

ただ、バフェット氏には成功してきたがためのジレンマもある。買収を繰り返してきたバークシャーは保険、鉄道、化学品など傘下に80社以上を抱える複合企業に成長した。時価総額は全米で5位。アップルやグーグルには劣るが、IBMやゼネラル・エレクトリック(GE)といった優良企業をしのぐ。

事業の拡大で積み上げてきた巨額の手元資金。これを有効に使うには、大型の買収を優先せざるを得ない。「(小回りがきいた)以前とは同じ要領ではいかなくなった」とバフェット氏。米国株が最高を更新し、極端に割安な企業が見つけにくい現状であればなおさらだ。

米経済には前向きなバフェット氏も、相場の先行きとなると話は別だ。今の株高や低金利は、米連邦準備理事会(FRB)の強力な量的緩和という「かつてない実験」に支えられている。

しかし米景気の回復が続けば、FRBはいずれ量的緩和の縮小や停止に動く。バフェット氏はこれを「世界中で銃声が鳴り響くようなもの」と表現。流動性の支えを失う株式市場などでマイナスの影響は避けられないとした。ただ「世界が終わるわけではない」と語り、最終的に市場は持ちこたえるとも付け加えた。

後継「合意済み」

今も健在なバフェット氏だが、年齢は82歳。株主は「バフェット後」を意識せざるを得ない。バフェット氏は総会で不測の事態に備え、「誰が後継者になるか取締役会で合意している」と話した。

これまで傘下企業の複数のトップが取り沙汰されてきたが、具体的な名前は明言を避けた。今後もバフェット氏が経営を続けていくことも改めて訴えた。

バフェット氏が会長と最高経営責任者(CEO)を兼務している現状とは異なり、バークシャーはいずれ集団指導体制に移る。長期の繁栄をどう実現していくのか。総会では、最大の難問の解決に腐心するバフェット氏の姿も垣間見えた。

(オマハ〈ネブラスカ州〉=川上穣)

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