イタリア国債利回り上昇 ユーロ導入後の最高水準
【ロンドン=松崎雄典】4日の欧州国債市場でイタリアの10年物国債利回りは前日に比べ0.2%あまり高い(価格は安い)6.4%強と、通貨ユーロ導入後の最高水準で推移している。信用力の高いドイツ国債との利回り格差は約4.6%と、ユーロ導入後で最も大きくなった。イタリアはギリシャ同様に政治が不安定で、財政再建が遅れるのではないかという懸念が強まり国債売りが優勢になっている。
ギリシャやアイルランド、ポルトガルは国債利回りが7%前後に到達すると上昇に歯止めがかからなくなり、金融支援の受け入れに追い込まれた。6%台の国債利回りは支援受け入れの可能性が意識される「危険水域」となる。欧州委員会のバローゾ委員長は4日、イタリア政府が国際通貨基金(IMF)に対し、緊縮策実施の監視を要請したことを明らかにした。
イタリアの債務残高は世界第3位。仮にイタリアの市場での資金調達が困難になれば、欧州連合(EU)の救済枠組みでは対応は難しい。「イタリアの利回り上昇を抑えられるかどうかが通貨ユーロ存続の分水嶺」(英金融グループ、スコティシュ・ウィドウズ)だ。
ところがイタリア国債の需給環境は非常に厳しい。年金などは南欧国債への投資を避け、欧州の銀行もリスク回避へ売却を急ぐ。頼みの欧州中央銀行(ECB)の国債買い支えも減少傾向。ドラギ総裁は3日、買い支えについて「一時的で限定的」との考えを示した。買い支えの機能がある欧州金融安定基金(EFSF)は資金集めに手間取っている。
一方、4日の欧州株式市場では英独仏の主要株価指数が小動きとなっている。同日の取引終了後に予定されるギリシャの内閣信任投票の行方を見極めたいと、売買が手控えられている。