中韓、関税撤廃の対象詰めへ 日中韓FTAに影響も

2014/7/3付
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【ソウル=加藤宏一】中国の習近平国家主席と韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が3日、中韓自由貿易協定(FTA)の年内妥結で一致した。両国は関税撤廃の自由化率で合意済み。今後は対象品目の設定で詰めの作業に入る。中韓FTAが早期に妥結・発効すれば、対中戦略で韓国企業は競合する日本企業に優位に立てる見通しだ。中韓FTA交渉の進展は進行中の日中韓FTA交渉にも影響を与えそうだ。

両首脳は「高い水準の包括的な中韓FTAを締結するため、協議の進展を前向きに評価している」との見方で一致。会談後の記者会見で、習主席は「2015年に貿易規模を3000億ドル(約30兆円)に拡大させるため良い要件を整える」と述べた。両首脳は会見で質問を受け付けなかった。

中韓は12年5月に交渉入りを宣言し、今年5月までに実務者協議を11回開催した。貿易品目の90%で関税を撤廃することで合意し、北朝鮮の開城(ケソン)工業団地で生産された商品も対象とすることで意見が一致している。11回目の交渉では電子商取引分野でも交渉が進展したという。

自由化対象の品目の多くはすでに決まっているもようだが、まだ明らかにされていない。韓国企業が強い液晶ディスプレーや半導体などが含まれる可能性は高い。そうなれば、中国市場で日本企業と競争する韓国企業には有利に働きそうだ。

今後は自由化対象から除外したい保護品目などを決める詰めの作業に入る。韓国の産業通商資源省の関係者によると、韓国はネギやニンニクなど農作物を保護したい考え。一方の中国は鉄鋼、石油化学、機械分野の市場開放に難色を示す。ただ、製造業の製品の大部分を自由化対象とすることでは一致しており、11月に中国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で交渉を妥結する可能性がある。

日本貿易振興機構(ジェトロ)・アジア経済研究所によると、中韓FTAが結ばれると、韓国は中国市場向けに年間277億6000万ドルの輸出増が見込まれる。これによる第三国への影響は日本が最も大きく、約53億ドルが韓国に取って代わられる見通しだ。「液晶デバイスや蓄電池など日本企業と競合する産業が大きな影響を受ける」と調査を担当した亜細亜大学の奥田聡教授は言う。

中韓FTA交渉が先行して進展したことで、13年3月から並行して進められている日中韓3カ国によるFTA交渉への影響も指摘される。日中韓FTAへの韓国の関心はそれほど高くない。日本では交渉が遅れるとの声がある一方で、「中韓FTAの大枠が固まればベースができあがり交渉がやりやすくなる」(奥田教授)との声もある。

中韓両国は人民元と韓国ウォンの直接取引でも合意した。開始時期は未定だが、中国は株式や債券などに投資できる800億元(1兆3100億円)規模の人民元適格外国人機関投資家(RQF11)の資格を付与する予定だ。

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