2019年2月24日(日)

靖国放火容疑の中国人、日本へ引き渡し拒絶 ソウル高裁

2013/1/3付
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【ソウル=小倉健太郎】靖国神社に放火した疑いがあり、韓国で拘束されていた中国人の劉強容疑者(38)の身柄について、ソウル高裁は3日、日本への引き渡しを拒否する判断を下した。日本は犯罪人引き渡し条約に基づき引き渡しを求めていたが、劉容疑者は同条約が送還の対象外と定める政治犯と認定した。改善基調にある日韓関係に水を差す可能性もある。

韓国のソウル高裁、靖国放火容疑者の日本への身柄引き渡しを拒絶。釈放された中国人の劉強元受刑者=左(3日夜)=聯合・共同

ソウル高裁は劉容疑者を政治犯とした理由に(1)靖国神社には戦犯が合祀(ごうし)されており政治的象徴性がある(2)同神社への放火容疑には政治的目的との有機的な関連性が認められる――などを指摘。そのうえで「政治犯を引き渡すのは韓国の政治秩序と憲法理念だけでなく、大多数の文明国家の普遍的価値を否認する」ことだとした。

韓国法務省は近く劉容疑者を釈放する。弁護士によると本人は中国に戻る意向。日本は中国と犯罪人引き渡し条約を結んでおらず、身柄を求めるのは難しくなる。劉容疑者が政治犯だとして日本に引き渡さないよう求めていた中国は3日、外務省の華春瑩副報道局長が「結果を歓迎する」とコメントを出した。

劉容疑者は2012年1月に在韓日本大使館にも火炎瓶を投げ込み、この事件では韓国で有罪が確定、11月まで服役していた。その取り調べ過程で、11年12月の靖国神社放火も自供したため日本政府が引き渡しを要請し、韓国法務省は刑期終了に合わせ、身柄の扱いに関する審査をソウル高裁に請求していた。

韓国メディアによると、劉容疑者は韓国での裁判などで祖母が朝鮮半島出身で旧日本軍の従軍慰安婦だったと説明。日本が同問題の日韓協議を拒否したため腹を立てて靖国神社での犯行に及んだと話しているという。

日本政府は3日、ソウル高裁の判断について、在韓国日本大使館を通じて韓国外交通商省に抗議した。日韓犯罪人引き渡し条約上、日本に引き渡すべきだと改めて要請した。

日韓関係は12年8月に李明博(イ・ミョンバク)大統領が島根県の竹島(韓国名・独島)に上陸したのを機に悪化。ただ、最近は両国とも指導者が交代するのを機に改善機運が浮上していた。4日には安倍晋三首相の特使として額賀福志郎元財務相が訪韓し、朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領と会談する。日本政府は劉容疑者の身柄引き渡しは引き続き求めていくが、日韓関係全体に影響することは避けたい考えだ。

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