/

米ロ、シリア問題で攻防 G20で支持取り付けへ

米、攻撃の正当性訴え

米国とロシアが5、6日の20カ国・地域(G20)首脳会議を舞台に、シリアへの軍事介入を巡って激しいつばぜり合いを演じることになりそうだ。オバマ米大統領はシリアのアサド政権による化学兵器使用の証拠などを各国首脳に示し、軍事介入への理解を求める考え。対するロシアは議長国の立場も活用して軍事介入に慎重な国際世論を広げる構えだ。

【ワシントン=中山真】オバマ大統領は3日、スウェーデン、ロシア訪問への出発に先立ち、ワシントンで米議会指導部と会談。オバマ氏は「我々が行動しなければ地域の同盟国を危機にさらすだけでなく、核不拡散などの国際規範の意味も薄れる」と軍事介入の正当性を力説し、軍事介入の早期承認を求めた。

共和党のベイナー下院議長は会談後「大統領の軍事介入の方針を支持する。共和党の我が同僚たちも支持すべきだ」と表明した。

9日以降とされる議会承認のカギとなるのは介入の正当性だ。化学兵器使用の証拠について米議会だけでなく、関係各国に説明を開始。オバマ氏はG20首脳会議を利用し、英国やフランスの首脳らと個別会談に臨み、シリアへの軍事介入に向けた連携を確認する見通しだ。

シリア問題はG20の公式な議題とはならないが、米政府高官は記者団に非公式な形で各国とシリアへの軍事介入に対する米国の立場を詳しく説明する考えも明らかにした。

オバマ政権はシリア周辺国などでつくるアラブ連盟などからの支持取り付けで「国際社会の要請」との大義をつくるシナリオも描く。ケリー国務長官は1日にサウジアラビア政府幹部に電話し、軍事介入の方針に理解を求めた。

米政府内には「国際社会からの支持取り付けは議会説得にも追い風になる」との声も出ている。

【モスクワ=石川陽平】ロシアのプーチン大統領は8月31日、「G20はシリア問題を協議する良い場だ」と述べ、北西部のサンクトペテルブルクで主催するG20首脳会議で取り上げる方針を表明。オバマ米大統領とも首脳会議の場を利用し、直接話し合いたいとの意向を示した。

プーチン氏は5日、まず中国の習近平国家主席と会談。軍事介入への反対で連携を強める。続いて中ロとブラジルなどでつくるBRICSの首脳会議でシリア問題の「平和的解決」を訴える。

欧州諸国にも働きかけている。プーチン氏は8月29日、ドイツのメルケル首相と電話で協議し、外交的手段で問題を解決する立場で一致。キャメロン英首相とも26日に電話で話し、軍事介入の回避を求めたもようだ。

ロシアはアサド政権による化学兵器使用を理由に軍事介入を表明した米政権に対して「証拠を明示していない」と指摘。国連安保理の承認がない軍事介入は国際法違反と主張してきた。

これまでシリアへ軍事介入を求める欧米諸国などの声に押されてきたロシア。だが、流れが変わりつつあると判断している。英議会が政府の議案を否決するとプーチン氏は歓迎。各国間に慎重論を広げておけば、米国が軍事介入に踏み切った場合も米国の「単独行動」への国際的批判を高められるとの読みがある。

 ▼ロシア・シリア関係 シリアは1946年のフランス委任統治からの独立に伴い当時のソ連と関係を強化。イスラエルと対立する中、対ソ関係を軍事的、政治的に拡大した。アサド政権とロシアとの友好関係の背景にはソ連時代からの歴史的つながりがある。
 シリアの武器輸入の約半分をロシアが担うとされる。地中海に面したシリアのタルトゥス港にはロシア海軍の補給拠点がある。ロシアは中東地域に残る数少ない友好国としてシリアを重視。政権交代で親米に転じることを防ごうとしている。

すべての記事が読み放題
まずは無料体験(初回1カ月)

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン