【バンコク=野沢康二】タイで下院解散に伴う総選挙(定数500)が3日投開票され、汚職罪で実刑判決を受け国外逃亡中のタクシン元首相派の最大野党、タイ貢献党の過半数獲得が確実になった。低所得者層や農民の支持を受けるタクシン派が約2年半ぶりに政権を奪還し、元首相の末妹インラック氏(44)が同国初の女性首相に就く見込み。
ただ、新政権がタクシン氏の帰国・復権に動けば、富裕層や都市住民を支持基盤とし、国軍が背後にいるとされる反タクシン派の反発は必至。両勢力がデモなどを繰り返すタイ政治の混迷が長引く可能性もある。
タイ選挙管理委員会によると、開票率約98%時点の予測で、タクシン派の貢献党は264議席を獲得。富裕層などが後押ししたアピシット首相(46)率いる民主党は160議席にとどまる。
インラック氏は同日夜、「この国を前進させたいという思いを抱いた人々の勝利だ。すべての公約を実現し、国民を決して失望させない」と勝利宣言した。アピシット首相は民主党の敗北を認めたうえで、「国民和解を進めるという約束を実行してほしい」と注文を付けた。
タイでは国軍が2006年にクーデターでタクシン首相(当時)を失脚させて以降、政治が混乱。08年末に反タクシン派が推すアピシット政権が成立すると、タクシン派が反発し、10年に首都バンコク中心部を2カ月間占拠する大規模デモを展開、治安部隊と衝突して90人以上が死亡する事態に発展した。