中国都市部、貧富格差242倍 北京大調査
【北京=共同】中国都市部の最富裕層(上位5%)と最貧困層(下位5%)の世帯年収を比較したところ242倍もの格差が存在し、格差の幅も急速に拡大していることが3日、北京大学の調査で判明した。
貧富の格差是正を唱える中央政府の「掛け声」とは裏腹に、都市と農村の差だけでなく、これまで明らかになっていなかった都市部内で広がる「絶望的格差」(関係者)が浮き彫りになった。
北京大の研究グループが2010年、中国全土の約1万5千世帯(約5万7千人)を戸別訪問して年収を聞き取り調査。12年に同じ世帯を再訪し、増減を比較した。
このうち都市部では12年、対象となった全世帯の上位5%の総年収が占める比率が24.2%だったのに対し、下位5%は0.1%で、242倍の格差があった。10年は約82倍で、わずか2年で差が約3倍に急拡大した。
上位25%の富裕層で見ても、12年の調査で全体の58.3%の富が集中。下位25%の貧困層は4.8%の富しか得ていなかった。
一方、中国全土の1人当たり平均年収は経済成長を反映し、富裕層も中間層も増加。ただ、都市部の最貧困層の年収は12年で1200元(約2万円)と、10年に比べ300元減少していた。
北京大の改革派研究者は「既得権益層が構造改革に徹底抵抗しているのが原因。格差がこのまま拡大し続けると動乱につながりかねない」と危機感を募らせている。
中国では、都市に暮らす特権層が職務権限を利用する不正収入や闇給与が巨額に上るとされる。
格差の程度を示すジニ係数(1に近いほど不平等)でみると、中国は10年に0.61。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、日本は0.336、米国0.380、ドイツ0.286。