グルジア議会選、野党が勝利 新体制で対ロ関係改善へ

2012/10/3付
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【モスクワ=石川陽平】1日投票の旧ソ連・グルジアの議会選挙(定数150)は即日開票の結果、野党連合「グルジアの夢」の勝利が確実となった。政権与党「統一国民運動」率いるサーカシビリ大統領は2日「野党に転じる」と敗北を宣言した。野党連合が主導する新たな政治体制は親欧米路線を堅持しつつもロシアとの関係改善に取り組む方針。カスピ海地域の石油・天然ガスを輸出するルートの安全性確保にもつながりそうだ。

グルジアは憲法改正により、2013年10月の大統領任期終了に伴い首相と議会に主な権限が移る。議会選で勝利した政党は首相を選び、政権交代が実現する。野党連合を率いるイワニシビリ氏は2日、サーカシビリ大統領から剥奪されているグルジア国籍を早期に再取得し、次期首相に就く意向を表明。大統領に退陣要求を突き付けた。

グルジア議会選は政党別の比例代表(77議席)と小選挙区(73議席)の並立制で争われ、任期は4年。03年の政変「バラ革命」を導き、親欧米と民主化にかじを切った現政権の路線継続の是非が最大の争点だった。9月中旬に発覚した首都の刑務所での受刑者暴行事件を機に、与党に強い逆風が吹いた。

中央選挙管理委員会によると、比例代表で議席獲得に必要な5%の得票率に達した政党・政治団体はグルジアの夢と統一国民運動の2つにとどまる見込み。現地時間2日夜(日本時間3日未明、開票率72%)の時点で、グルジアの夢は54%を得票し、統一国民運動の41%を引き離している。

小選挙区でも野党連合の候補者が30選挙区で優位に立ち、与党候補がリードする選挙区は27となっている。イワニシビリ氏は1日夜「100以上の議席を獲得する」と勝利を宣言した。

野党連合は外交政策で与党と同じく、北大西洋条約機構(NATO)加盟など親欧米路線を掲げる。ただ、サーカシビリ政権とは異なり、08年のグルジア紛争で外交関係を断った隣国ロシアとの関係を改善する現実路線も打ち出した。

国民の間ではロシアによるグルジア領内の南オセチアとアブハジアの独立承認につながった同紛争を招いたとして、現政権への批判が根強い。ロシアとの関係が打開されれば、両地域の領土回復は難しいものの、不安定な地域情勢の緊張緩和につながる。グルジア経由で欧州などに石油や天然ガスを輸出するパイプラインの安全性も高まるとみられる。

グルジア紛争を契機に、特産品のワインや飲料水などの対ロ輸出も止まり、経済が打撃を受けた。野党連合はロシアの関係改善で貿易や人の交流の再開など好影響を期待しており、ロシアのメドベージェフ首相も2日「ロシアの政権与党、統一ロシアはグルジアとの今後の関係について対話する用意がある」と意欲を示した。

04年から続くサーカシビリ政権は経済の発展や汚職対策で成果を上げた半面、政治手法で強権色を強めており、議会選で与党が敗北する一因になった。07年には大統領の不正を追及した野党の大規模な抗議デモを強制排除した。

選挙で与党が勝利すれば、野党連合が政権による「不正選挙」に対する抗議デモを展開、政治混乱が起きる可能性もあった。欧米では今回の選挙を「グルジア民主化のリトマス試験紙」(ラスムセンNATO事務総長)と位置づけており、現政権も選挙結果を受け入れる見通しだ。

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