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銀行間金利LIBORで不正操作 米欧、摘発拡大も

英バークレイズ会長は引責辞任

【ロンドン=上杉素直】住宅ローンや預金など世界の金融取引に使われる基準金利が操作されていた問題で英大手銀行バークレイズの不正が明らかになり、同行は2日、マーカス・エイジアス会長が引責辞任すると発表した。さらなる経営責任を問う声も出ており、同行への追及は加速する見通し。米欧当局は世界40前後の金融機関を調査しており、摘発が他の大手行に及ぶという指摘もあり、米欧の金融業界には波紋が広がっている。

不正の舞台になったのは、英国銀行協会が大手行の申告に基づいて集計する「ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)」と呼ばれる短期金利の基準値。ドルやユーロなどの通貨や貸出期間ごとにいくつかの数字が示され、英国だけでなく世界の金融市場や取引で基準金利として使われている。個人や企業への貸し出しや預金、市場取引などの金利設定の基になるものだ。

中央銀行政策金利を上げたり、金融危機で銀行の経営環境が厳しくなったりするとLIBORが上がる。ユーロ危機が深刻だった昨年後半は上昇を続けた。

英米当局は1年以上にわたる捜査で、バークレイズが2005~09年に虚偽申告を繰り返し、経済の実態とかけ離れてLIBORを上げ下げしたと結論づけた。

市場原理を反映するはずの基準金利を自分の有利な方向に動かせば、過大な利益を得る機会が生まれる。当局の捜査では、バークレイズのトレーダーがLIBOR担当者に「1カ月物と3カ月物の数値をできる限り高くしてほしい」と頼んだメールも発覚。自行の利益のために金利をゆがめた不正の存在をバークレイズ側も認めた。

 同行の不正は米サブプライムローン問題を発端にした世界金融危機の時期に重なる。銀行協会に申告する数字が他行よりも高いことを経営陣が嫌がったため、実態に比べて低い数字を出したケースもあったと伝えられている。数字が高いのは経営不安の裏返しだ、と市場に解釈されるのを恐れたとみられる。

バークレイズは不正の事実を認めて先週、米英当局に総額2億9000万ポンド(約360億円)の巨額の罰金を払った。同行の株価は直後に約16%下落し、罰金支払いに伴う目先の業績悪化だけでなく、社会的信用を損なった中長期の影響が懸念されている。

同行はエイジアス会長の辞任表明で騒動に区切りを付けたい考え。ただ、経営者としての役割と責任が会長より重いボブ・ダイヤモンド最高経営責任者(CEO)の辞任を求める声も株主や英政界にくすぶる。ダイヤモンド氏は4日に議会特別委員会に呼ばれ、疑惑の経緯を説明する。

LIBORの不正操作をめぐっては、米司法省や英金融サービス機構が昨春、本格捜査に着手。世界の40金融機関が捜査の対象になっているといわれ、日本の独自指標「東京銀行間取引金利(TIBOR)」も不正取引の一部に使われたとされている。

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