2018年1月23日(火)

iPad訴訟和解 アップル・中国側、実利重視の幕

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2012/7/2付
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 米アップルが多機能携帯端末(タブレット)「iPad(アイパッド)」の商標権を巡り中国で争っていた訴訟は、アップルが、同社を訴えていた中国企業への6000万ドル(約48億円)の支払いを受け入れ、和解に達した。2011年から続いた係争の決着の構図には、双方が実利を重視した跡がうかがえる。

■アップル、新製品や生産への影響考慮

中国でも大きな関心を集め多数の傍聴希望者が並んだiPad訴訟(2月29日、広東省広州市の広東省高裁)

中国でも大きな関心を集め多数の傍聴希望者が並んだiPad訴訟(2月29日、広東省広州市の広東省高裁)

 【シリコンバレー=岡田信行】全社売上高の2割を占める中国での訴訟が響き、新型iPadを発売できずにいたアップル。目の前の商機と譲れない一線の間で揺れながら、名よりも実を取った。

 「国内外の注目を集めていた訴訟が決着した」。2日、中国・広東省の高級人民法院(高裁)はサイトでこう伝えた。

 裁判はアップルがiPadの商標権を巡って、中国のIT(情報技術)機器メーカー、唯冠科技深セン(広東省)と争ったもの。アップルが唯冠の台湾グループ会社から商標権を買い取ったと主張したが唯冠側は、商標権を保有していたのは中国の唯冠でアップルとの契約は無効だと訴えた。11年に深セン市の中級人民法院(地裁)が唯冠の訴えを認める判決を下し、アップルが上訴していた。

 和解の背景には、3つの要素が考えられる。

 1つは新型iPadの中国発売だ。和解で障害物を取り除き、増収を狙うとともに、レノボ(中国)やサムスン電子(韓国)など競合他社の追撃をかわす考えだ。

 第2は生産への影響だ。今回の訴訟で敗訴が確定すれば、アップルの中国販売だけでなく、生産にも響く可能性があった。中国の協力工場に生産を委託するアップルにとって、中国での生産が止まれば、世界戦略に響きかねなかった。

 第3は他の知的財産権を巡る紛争への影響だ。「『iPad』ブランドを育てたのはアップル。毅然と対応すべきだ」。同社株主にはこんな声が根強い。ブランド力で製品を販売し、アプリケーションソフト音楽配信などの仕組みと組みあわせて顧客を囲い込むのがアップルの戦略で、デザインや機能、製品名などはブランドの源泉でもある。安易な妥協は許されなかった。

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