米、北方領土問題で日本支持を正式表明
【ワシントン=弟子丸幸子】クローリー米国務次官補は1日の記者会見で、ロシアのメドベージェフ大統領の国後島訪問について「北方領土に関して、米国は日本を支持している」と言明した。オバマ政権が北方四島を巡る問題で日本支持の立場を公式に確認したのは初めて。そのうえで、日本とロシアが平和条約締結に向けた交渉に努力するよう求めた。
クローリー氏は「(北方領土問題に関する)論争は十分に承知している」と指摘したうえで、4島返還を求める日本の主張への支持を表明。「だからこそ、米国は長年にわたり、日ロ間の平和条約交渉を促してきた」と述べた。
これに関連し、米政府当局者は同日、日本経済新聞に「北方領土に対する日本の主権を認めている」と語り、北方四島は日本に帰属するとの認識も明言した。
オバマ政権は沖縄県の尖閣諸島をはじめ、他国の主権や領有権にかかわる問題では、立場を明確にしないのが基本姿勢。北方領土に関しては冷戦時代から続く米政府見解があり、オバマ政権としても追認した形だ。
ただ、あくまでもオバマ政権はロシアとの関係を重視。日本の領土問題で対ロ関係を悪化させる考えはなく、事態を静観する構えだ。北東アジアの安全保障と密接に絡む領土問題で日本が周辺国と摩擦を抱える事態は歓迎しておらず、今後、日ロ、日中の関係の双方で緊張回避へ努力するよう求めていく。
米政府の北方領土に対する姿勢は中国も注視。中国国営の新華社通信は1日、ワシントン発で米政府の日本支持表明を報じた。