2019年1月20日(日)

イランが新型ミサイル試射 欧米の制裁けん制

2012/1/2付
保存
共有
印刷
その他

イランが同国の核開発に反対して経済制裁で圧力を強める欧米に対し、硬軟両様で揺さぶりをかけている。ホルムズ海峡とその周辺で軍事演習を実施中のイラン海軍は2日、ミサイルを試射した。クウェート領海近くのガス田で単独開発を強行する可能性を示唆する一方、自国の核開発に関して欧米に交渉の用意がある意思も示している。

イランのファルス通信によると、イラン海軍が2日試射したのは射程200キロの新型地対艦ミサイル「カデル」。イラン側は「ペルシャ湾にあらかじめ設置された標的を破壊した」としている。これに先立ちイラン海軍は1日、別の中距離ミサイル「メフラブ」の発射テストを実施した。同ミサイルはレーダー追跡を避ける仕組みを備えていると説明した。

年明け後の一連の動きはイランが自力で高性能の兵器を運用する能力があると世界にアピールする意図がうかがえる。

一方、海上油田を手掛けるイラン大陸棚石油公社のジラクチャンザデ総裁は1日、クウェートに近いアラシュ海上ガス田開発について同国と共同開発で進める方法を現在は重視すると発言。同時に「イランの建設的な提案が却下されたなら、アラシュガス田で我々の(開発)努力を推し進める」と強調した。かつてオマーンとの間で話し合いがまとまらず、単独で開発を強行したヘンガム油田の例と同じ手法をとる可能性を示唆した。

イランには強硬路線を絶えずちらつかせながら国際的な危機感を高め、欧米をけん制する狙いがある。同国政府高官はホルムズ海峡封鎖の可能性について頻繁に言及。欧州債務危機の影響で世界景気の減速が懸念される中、原油の値上がりを誘う動きを繰り返して制裁の緩和につなげようとする思惑が浮かぶ。

イラン原子力庁は1日、同国が核燃料棒の製造に成功し、首都テヘランの施設で性能試験を実施したと発表した。事実ならば核燃料サイクルの完全国産化に向け大きく進んだことになる。

表向きは強気の言動が目立つものの、サレヒ・イラン外相は昨年末、自国の核開発を巡る欧米との協議について「再開することは可能」と述べ、対話の姿勢も示していた。このあたりにイランの本音が見え隠れする。

イランは英国が実施したイラン中央銀行との取引禁止が他国に広がり、同国の収入源である石油輸出が細ることを警戒している。安全なドル資産を保有する動きが強まり、イランの通貨リアルは下落基調をたどる。

今年3月に国会の選挙を控えるアハマディネジャド大統領は欧米による制裁圧力を和らげ、経済を少しでも好転させたいと望んでいる。ただ力ずくの瀬戸際戦術が際立つ対応の成否は不透明だ。(ドバイ=中西俊裕)

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報