2019年1月21日(月)

[FT]大勝のレンツィ伊首相、今が改革の時(社説)

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2014/6/2 14:55
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直近の欧州議会選挙では、欧州連合(EU)懐疑派や反体制の政党が域内各国で大勝した。一方、イタリアではこの潮流に大きく逆らう結果となった。レンツィ首相率いる中道左派・民主党が41%の票を獲得し大勝した。あらゆる政党のなかでも、1958年以降のイタリア国内選挙で最大の勝利だった。また民主党は、コメディアンのグリッロ氏が率いる「五つ星運動」に得票率で20ポイントの差をつけて圧勝した。

欧州議会選挙で勝利したことを受け記者会見するレンツィ首相(5月26日、ローマ)=AP

欧州議会選挙で勝利したことを受け記者会見するレンツィ首相(5月26日、ローマ)=AP

レンツィ氏の勝利は国内での政治的立場において大きな意味を持つ。フィレンツェ市長を務めたこともある39歳の同氏は、党内で反旗を翻してレッタ前首相を辞任に追い込み、自らがその後を継いだ。レンツィ氏は現在、イタリアの長期的な競争力を高めようと幅広い経済・政治改革を提案している。

レンツィ氏が選挙で選ばれた首相ではないことから、痛みを伴う改革を推進する上で選挙民の負託を受けているかについて疑念が浮上していた。欧州議会選での伊民主党の善戦により、同氏が切実に必要としていた民主的な正当性が示された。

レンツィ氏の勝利が意味することが当てはまるのはイタリア国内だけではない。欧州各国の中道左派をはじめとする主流派の首脳は、成長促進のために痛みを伴う経済改革を進めることに慎重になっている。欧州議会選で大敗したことで歳出削減などの不人気な政策の実施に一段と弱気になっている指導者もいる。レンツィ氏の勝利は、大胆な改革プログラムを掲げる欧州の政府も有権者の支持を得られるという貴重な教訓となっている。フランスのオランド大統領はこれを肝に銘じてほしい。

■労働改革急務

足元の焦点は、果たしてレンツィ氏が欧州議会選での勝利を改革施策の推進につなげられるかどうかだ。同氏は、硬直的なイタリア労働市場の改善や歳出削減のほか、議会制度の改革や選挙法の改定など、極めて野心的な公約を掲げている。一方で、欧州議会選で勝利こそしたものの、同氏は中道右派政党に依存した複雑な連立政権を率いており、扱いにくい議会が行方を左右している。その結果、レンツィ氏が示した改革履行のタイムテーブルにはすでに遅れが生じている。

レンツィ氏はまた、困難を伴う経済的な遺産にも直面している。14年1~3月期のイタリアの国内総生産(GDP)成長率はマイナス0.1%で、持続的な経済回復への道のりがなお遠いことが浮き彫りとなった。低成長のままでは、同国が2兆ユーロの公的債務を減らし、ユーロ圏ではギリシャに次ぐ高水準の対GDP債務比率を引き下げられる公算は小さい。

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