2018年10月20日(土)

[FT]アベノミクスが危険なこれだけの理由

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2013/3/4 7:00
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(2013年3月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

通貨を押し下げ、新たな財政刺激策に乗り出す首相の決意を、多くの日本人投資家が歓迎した。昨年12月に安倍晋三氏が首相に選ばれてから、TOPIX(東証株価指数)は22%上昇し円相場は劇的に下落した。今後は、財務省の元キャリア官僚で次期日銀総裁に指名された黒田東彦氏が、さらに積極的な量的緩和策を指揮する見込みだ。

■政策の多くは過去に失敗

アベノミクスは日本を救えるか=AP

アベノミクスは日本を救えるか=AP

もっとも、懐疑的な向きもある。不十分な構造改革や不利な人口動態、低い生産性、中国や韓国など近隣諸国の競争上の脅威などから、こうした政策は悪影響を相殺しないまま金利の上昇を招くと見る。

何年もの間、日本円と日本国債の空売りは損失が膨れ上がる「墓場トレード」と見なされてきた。ところがアベノミクスという、素晴らしいが決して新しくない世界のおかげで円売りは利益を上げ、日本に対する弱気筋は弱気な賭けの対象を日本企業に広げている。

こうした投資家のポジションは、政府の施策にどれだけ大きな利害が絡むかを示すとともに、新政権が日本を持続的で高い成長の軌道に乗せる可能性に悲観的な運用担当者やエコノミストが多い理由を物語る。その理由とは、政府が掲げる政策は過去に失敗した応急措置が多く、長年にわたる低成長やマイナス成長を経て、以前より危険になった対策であることだ(そして現在、日本はマイナス成長が3四半期続き、再び景気後退に陥った)。

■金利上昇を招きかねない円安

いくつかの面で、確かに円安は日本の輸出企業の収益に貢献する。ただ、そうした効果はある意味でうわべだけだ。それよりも、魅力的な製品を生みだし、価格の決定力を持つ方がずっといい。さらに、円安は純粋に恩恵ばかりではない。日本は依然として原材料の輸入に頼っている。福島の原発事故で原子力発電は大幅に削減され、エネルギーの輸入にさらに頼るようになった。円安で貿易収支と経常収支の双方に大きな圧力がかかる。

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